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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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巴と若葉-5

風呂上りと言うものはどうしてこうも人を生まれ変わった気にさせてくれるんだ。

「ふぅー……。」

自室の窓を開け、星空をぼんやりと眺める。

「全ては、お前次第だ…。」

先ほど彼に言われた言葉が頭の脳裏に蘇る。

私次第…かぁ。

確かに、今回の事件は私の行動を中心に回ってる。

だから、私が…。

「ん?」

頭を悩ませていると、着信ランプがついた自分のケータイに目が止まり。

画面には本当の恋人の名があり。

「蓮…。」

何の用だろうか?…いやそんな事は今は関係ない。

彼には合宿で頑張って欲しい、そう思って私は彼を快く送った。

だから私から彼に電話をする事何て許されない、でも…彼から電話が来た、それは蓮が私
に用があるから、話をしたいから、だったら彼と会話をする事は許されるのだ。

「……。」

しかし、通話ボタンを押す事に躊躇いを覚える。

「!!」

そうやってグズグズしていると着信音が…、相手はまさに今私が思っている人物。

「んー……。」

それでも尚、ボタンに触れる気はなく…。

「も、もしもし?」

無意識の内に指が勝手に、もしやまたしてももう一人の自分が…こわっ。

「あっ!巴ー?今いい?」
「う、うん!」

力の抜けるトーン、だがこれこそ彼って感じ。

「練習はどう?少しは腕あがった?」
「うん!部員全体の腕があがったって感じ、昨日何て中心に近い位置に命中して。」
「へぇー、そりゃ良かった。」

これなら彼を送ったかいがあった‥。そう思うと自分の行動が正しかったとホッと胸を
撫で下ろす。

「聞いて、こないださぁー、肝試しをしたんだぁー。」
「え?合宿中に何してんの?」
「ちょっとした息抜きさ!合宿だからって練習ばっかしてる訳じゃないさ。」
「成程、心体が疲れていたら練習にもならないと…。」
「そーゆー事!」

他愛もない会話、心が徐々にほぐれていく。

「何、先輩や顧問の先生、知らないおっちゃんが幽霊役をやったのかい?」
「知らないおっちゃんがいたらそれこそ少し恐いよ、そうじゃないさ、先輩が急に肝試し
したいって言いだして、そのまんま森を散歩して。」
「何ー、それじゃーホントただの散歩じゃん。」
「いやーでもその森って何か少し出る見たいで。」
「それじゃーちょっとした心霊スポットって訳だ。」
「そーゆー事!」
「もし弓道の腕が落ちたら妖怪のせいかもね。」
「ふっ、それは勘弁だなぁー、それに妖怪違いだしっ!」

そしてお互いに笑い噴き出す。

あぁ、やっぱり私はこの人が大好きだ。

「にしてもどうした訳?急に電話何かよこして。」
「いやー。」
「学校の様子が気になったとか?」
「それもそうだけどー。」
「ん?」
「急に、君の声が聞きたくなって‥。」
「え……。」

やだ、やめてよ♡

なーんか恋人してる見たい。

…恋人。

「ね、ねぇ!」
「何?」
「その…いつ戻ってくるの?」
「え?」

聞いてしまった。

「…後一週間もすれば戻ってくるよ。」
「ホントッ!?」
「うん、何、寂しいの?」
「……。ばぁーかっ!んな訳あるかぃ!何だったらもう一週間腕を磨いてこい!」
「それもありかなー。」
「……。」
「なーんて予定通り帰るよ。」
「残念ね。」

さっきから思いと反対の事ばかり。

「蓮。」
「んー?」
「……。」
「どーしたのー?」
「なっ、何でもないっ!」
「…そう、じゃ皆と入浴してくるから、そろそろ。」
「あっ、うん、じゃ残りの練習頑張れよ。」
「はーい。」

そして電話は切れて…。

……。

会いたい、でも駄目だ、寂しい、だからあたると…。

いやいや!そんなの間違ってる!

そんな事をして、あの子が…。


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