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二人の外道
【鬼畜 官能小説】

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 少女はふっと目を覚ました。まだ視界がぼやけているが、上からいくつかの明かりが網膜に差し込んできているので、どうやら室内らしいことは理解できた。服は制服のまま、靴は脱がされてはいるものの、それ以外は何も変わらないようだ。鞄はどこだろう? 財布と定期がないと家に帰れない。五時からバイトもあるのに……。なんて考えながら起き上ろうとして腕を動かしてみた。しかし、こっちの方はほんの少ししか動かせなかった。足の方も同様で、どうやらテーブルか何かの上、ベッドだろうか? 少し柔らかい。その上に大の字で固定されているみたいだ。そう、ゆっくりと理解して、少女の身体と精神にわずかな冷や汗と、とてつもない焦燥感がそれぞれ湧きだす。やがて、ぼやけていた視界も元の性能を取り戻し、あたりがはっきりとし始めた。
 唯一自由の利く首を横にして、腕を見てみると、手首に映画でしか見たことの無い、鉄でできた枷が巻かれていた。よくスパイ映画でヒロインが捕まったときに見る小道具そっくりだ。しかし、どう見てもこれはそんな“ハリボテ“ではない。足の方も動かすとガシャガシャと音がする当たり、同様なのだろう。
「げ……起きてるじゃん」
 首が動くだけではさすがに姿は見えないが、足元の方からガシャンと鉄の扉が開いて閉じる音がして、同時に小さな驚きを含んだ男の軽い声を鼓膜が拾った。
「別にいいだろ。起こす手間が省けたってもんだ」
 後から別の男の声も聞こえる。最初の声と違ってこちらは重厚感のある声で、耳によく通った。
「ばか野郎、これはウチの新薬の試作品なんだぞ、実験も兼ねてたんだ。……むぅ、思ってたより効き目が悪いな」
「そんな失敗作を使うんじゃない。もしちっとも効かなかったら、今頃取調室だぞ」
「あと一時間は起きないはずだったんだがなぁ」
「まったく。お前は昔からお調子者な所があるからな。なんでこれで業績が上がるんだ」
「そういうお前は固すぎるんだよ。こんな石頭がなんで議員バッジなんか付けられるんだか」
 二人の口論とも言えなくはないやり取りを、悠長に聞いている余裕は少女にはない。目をぎゅっとつぶり、手をグッと握って、黒のハイソックスに包まれた脚のつま先をぎゅっと縮める。
「怯えちゃって、可愛いいねぇ」
 口論を終えたのだろうか。軽い声の男がそう言いながら太腿辺りに無造作に触れる。ビクッと身体が反応してしまい、その様をみた男はいやらしい笑みを浮かべて、太腿をさすり続ける。
「まぁ、落ち着けよ。まずは自己紹介といこうか」
 重い声の男がその手を制止すると、軽くお辞儀をして口を開いた。
「私はB。よろしくお願いします」
 ジャージに身を包んだ壮年の男の丁寧な口調には紳士としての気品が確かに感じられた。続いてその隣の軽い声の男が口を開く。
「俺はA。よろしく」
 こちらもジャージを着ているが、Aと違って胸元のファスナーを外し、中に来ているTシャツを見せて着崩している。それでも最低限の礼儀はきちんと備わっているようだったが、この時だけは上品とは言い難かった。今だに彼の手は少女の太腿に置かれてあったからだ。


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