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例えばこんなカリキュラム
【二次創作 官能小説】

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〜 理科・化学 〜-1

〜 22番の理科・化学 〜



 理科には『実験実技』という分野がある。 幼年学校で習った『化学』的な実験を再現する内容だ。 薬品を計量し、加熱器具を扱い、試験管やフラスコを設置し、目指す気体や化合物を調合する。 授業中は白衣や安全眼鏡の着用が認められており、無意味に下半身や乳首を酷使する必要はない。 授業の流れは、例えば以下の流れで進んでゆく。

『5人1組で班をつくり、作業を分担して手際よく進め、授業の最後にはレポートを書いて提出し、後かたづけを済ませて教室を後にする』

 これを完璧に済ますためには、20号教官のリズムに自分達を合わせることが大切になる。
 20号教官は早口だ。 動きもオーバーかつキビキビしている。 身振りが大袈裟で素早い分、とにかく忙(せわ)しいから、話している内容を理解するには必死に集中しなければならない。

「全班! すぐに漏斗にろ紙をつける!」
「バーナー点火、火力は弱火、スタンドには近づけすぎない!」
「塩化アンモニウムと炭酸カルシウムを混ぜたらしっかり振るっ。 振ったら水を一滴垂らすっ」
「試験管の加熱部分、火に近いよ何やってんの!? 逆でしょうが、上に傾けなさい!」

「「はいっっ!!」」

 教官は誰彼かまわず指示をだし、その全てに私たちは大声で答える。 

「リトマス紙は!? クズッ、今更色なんて聞いてどうするの?」
「軽く水に濡らすっつってんの、そこ、聞いてんの? 色が青変したら丸底フラスコ、スタンバイ!」
「もったいぶらずに自分で臭い嗅いでみれば、ガスが出てるかくらいわかるでしょうがっ」
「コルク栓は素早くしめんのよ。 ガスが抜けたら元もの黙阿弥なんだからね」

「「はいっっ!!」」

 次々下される指示は、脈絡も余裕もへったくれもない。 どんな作業をするか事前説明もないし、目的も不明。 私は幼年学校時代に化学が得意だったから、今回については手を動かしているうちに内容が分かった。 『アンモニアを水に溶かし、陰圧で水を吸い上げる』実験――所謂アンモニアシャワー――を再現しようとしている。 内容が分かれば教官の指示がもつ意味も見えてくる。 
「ガラス管くらい一気にズブッと挿しちゃいなさい。 そこっ横をみるな、話きいて手ぇ動かせっ」
「ビーカーに水は入れた? 300mLはないと派手にいかないよぉ」
「はい、準備できたとこからスポイトで水を差しなさい。 どんどんいっちゃおう」
「ちょっとそこ、PP(フェノールフタレイン)忘れてるんじゃないの!?」

「「はいっっ!!」」

 私たちの班――私と21番、23番、24番、25番の4人――は、私と21番以外は化学に疎いらしい。 次にどう動いていいか、分かっている生徒は21番だけで、ほかはオロオロと視線を彷徨わせるだけだ。 授業中の私語は厳禁なため、私が教えることもできない。

「……」

 こういう時は、考えるより行動だ。 私と21番で行程の大部分をこなし、器具を押さえるだとか試薬を計量するだとかを23番たちに委ねる。 実験中の計量は、質量を25番が担当し、体積は24番が担当し、その他を23番が担当するといった具合だ。

 プシッ。

 完成した実験装置にスポイトで水を送りこむ。 フェノールフタレインが入ったビーカーの水がフラスコ内に吸い込まれ、アンモニアと反応して赤くなりながら噴水になってとびだした。 成功だ。

「1班合格! 2班NG、3班NG、4班NG、5班合格! 6班合格! 7班NGッ!」

 カッ、カッ、カッ。 黒板に刻まれる○と✕。 私達5班の横には小さい○がくっきりだ。

「いいことっ、貴方たちはこれから社会に出たら、じっくり考える時間なんて全くないの! いつでも手と目と頭を同時に動かして、常に先を考えて、消化と吸収と食事と排泄を全部同時にしなきゃなんだからねっ! 私の指示ごときで戸惑うようじゃ、他教科に単位を認めてもらったところで社会のゴミにしかなりません! この時間は、あるべきリズムに自分を近づけるための講義っ。 大人になってマスターベーションしたいなら、HANDS & EYES、手を動かす、話は目で聞くっ」

「「はいっっ!!」」

 20号教官は喋り続ける。 合いの手をいれるかのように、私たちが返事をかえす。 『アンモニアシャワー』は終了だ。 教官が一般論を声高に論じる間に、試験管をスタンドから外して水洗いをする。 実験終了後に洗い物の時間があるにはあるが、可能な分は事前に洗うにこしたことはない。




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