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『Conceal my Heart』
【青春 恋愛小説】

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『Conceal my Heart』-2

それから俺たちは屋上で会って、互いに本音を語り合うようになった。俺が屋上に行くと必ず結菜がいた。二人でいるときは、ありのままの自分でいられる気がして、俺は結菜と話すのが楽しみで仕方なくなっていった。
そんなある日、結菜が男と笑いながらキャンパスを歩いているの偶然見かけた。彼女の笑顔が他の男に向けられているのを見て、俺の心はズキズキと痛み、悲鳴をあげた。そして気付いてはいけない気持ちに気付いてしまった。
(俺は、結菜のことが好きなのか…)
でもこの思いは彼女に伝えてはいけない。彼女が俺に求めているのは愛情じゃなくて、本音を語れて、聞いてくれる友情だから。だからこの気持ちは結菜に伝えられない。この気持ちは圧し隠さなければならない。そんなことを考えてるうちに、俺は結菜にも本心を隠すようになってしまった。結菜の前でも心から笑えなくなってしまった…。

それから2週間たったある日、俺はいつものように結菜とあの日の屋上で話していた。
「はぁ、やっぱり健吾といると落ち着くなぁ、本音がちゃんと言えて。」
「そっか…。」
「…でも健吾は無理してるね。最近本気で笑ってないもん。」
気づかれていたという事実に、俺は何も言えずにいた。
「あたしといるの、辛くなった?」
「そんなこと…ッ!!」
思わず否定しようとする、でも後が続かない。この気持ちを隠したままお前といるのは辛いよ、結菜…。
「…やっぱり辛いんだね。ごめんね、健吾に無理させて。」
なぜだろう、この先の言葉は絶対に聞いてはいけない、そんな気がしたんだ。でも、俺には止めることができなかった。
「あたしね、同じ学部の人に告白されたの。その人もね、私の本音を聞いてくれる。だから健吾が辛いのなら、あたしはもう健吾には頼らないよ?」
目の前が真っ暗になった。このままでは結菜は俺から離れていってしまう。しかし、それでも俺は結菜に自分の正直な気持ちを伝える勇気が出なかった。
「そっか…よかったな、結菜の本心聞いてくれる彼氏ができて。」
(終わった…)
そう思った。結局俺は自分の気持ちを伝えられない臆病者だったんだ。結菜が求めていないとか適当な理由をつけてはいたけど、結局俺は自分の気持ちを伝えることに怯えてただけだったんだ。
(こんな臆病者じゃ、フラれて当然だな。)
俺の中であきらめがつきそうになった瞬間、結菜が言った。
「…健吾、ウソつくの下手だね。」
「えっ?」
「そんなに辛そうな顔して、よかったな、なんて言われても全然説得力ないよ?」
返す言葉がない。
「ねぇ健吾。あたしには本当の気持ち、話してほしいよ…。」
結菜の瞳から雫がこぼれ落ちた。…俺は何に怯えていたんだろう。結菜は、俺の気持ちを必死で受けとめようとしていたのに…。一人で勝手に悩んで、あきらめて…、俺は馬鹿だ。…覚悟は決まった。
「白岡結菜さん!俺はあなたが好きです!自分の気持ちもろくに伝えられない臆病者だけど、君のこと泣かせたけど、俺と付き合ってください!」
結菜はきっと驚いているだろう。そりゃそうだ、突然だもんな。頭を下げたまま、俺は彼女の顔を見れないでいた。まるで永遠に続くかに思われる沈黙。しかし、それは意外な形で破られた。
「鷹宮健吾くん!私はあなたが好きです!自分の気持ちを伝えられなくて、あなたを試すようなことする臆病者だけど、あなたのこと困らせちゃったけど、私と付き合ってください!」
…耳を疑った。


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