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『Conceal my Heart』
【青春 恋愛小説】

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『Conceal my Heart』-1

本心を隠したままでいるのは、本当に辛いことなんだ…。

『Conceal my Heart』

俺、鷹宮健吾。年齢:18歳、職業:大学生、趣味:カラオケ、大学生になってやりたかったこと:サークル活動・彼女を作ること・そして…
「一人屋上でたそがれること!」
そういって俺は目の前の扉を思いっきり開け放った。そして一斉に吹き込んでくる風を、目を閉じて体いっぱいに受ける。暖かな風からはほのかに桜の香りがする。
「う〜ん、この感じ、いいね。」
そう呟いて目を開けると、目の前には青い空と予想していなかった後ろ姿。
(なんだ、先客がいたのか)
フェンス越しに風景を眺めていた先客も、俺の気配を察知したのかこちらを振り向いた。背中まで伸びたウェーブのかかった髪が風に吹かれてなびいている。顔は童顔で俺好み。はっきり言ってむちゃくちゃかわいい。少しの間ぼーっと見つめてしまう俺。はっ、目が合った!
(っと、いかんいかん、ここに来た目的を忘れるとこだったぜ)
あわてて彼女から視線を外して、俺もフェンスへと近づく。今日は本当に風の気持いい日だ。きっとここで寝っころがったら気持ちよく昼寝ができるんだろうけど、赤の他人がいるんだ、今日は遠慮しておこう。
ふと彼女のほうを見ると、なんともせつなげな表情。ほんとにかわいいなぁ、この人…。
「あのぉ…。」
そんなことを考えていて、突然声をかけられれば誰だってびっくりするだろ?
「は、はいっ!」
お約束通り、声がうらがえっちまった。
「あなた、ここにはよく来るの?」
綺麗な声だ…ってそうじゃない。いきなり何だろ?と思ったがウソをつく理由もない。
「いや、今日が初めてですけど…」
「じゃあ何で来たの?」
(…これって遠回しに来るなって言われてないか?)
「あの、俺がいるのが迷惑なら他探しますけど…」
とはいうものの他の屋上なんてあったっけ?そう思案する俺に彼女はなおも続ける。
「別に迷惑じゃないの。ただ何でか聞いてみたくて…ダメかな?」
(そんな顔でダメかな?は反則だろ…仕方ない。)
断る理由もない。素直に目的を語ることにした。
「…誰か他の人といるとさ、無意識のうちに本心を隠しちゃうんだよね、俺。なんていうか周りを気にしすぎるっていうの?俺の思ってることを言うと、みんなに悪く思われるんじゃないかって。」
彼女は黙って話を聞いている。俺はさらに続けた。
「だから適当に周りにあわせて相づちうっててさ。でもずっと周りばっか気にしてると疲れるんだよな。だからたまには一人になって、周りを気にしない時間を過ごしたくてここに来たんだ。屋上は一人になるにはもってこいだからね。」
話し終えてからしばらくの沈黙の後、彼女は口を開いた。
「やっぱり…」
「は?」
思わずマヌケな声を出す俺。…みっともない。
「私と同じこと考えてるね、君。」
「じゃあ、君も?」
「うん、あたしも周りにあわせるのに疲れたら、ここにくるんだぁ。君の顔見たらなんとなく同じこと考えてるんじゃないかなぁって思って。…男の人にこのこと話したの、君が初めてだよ?」
彼女は、はにかみながらそう言った。同じことを考えていた人に出会えたことに少なからず俺も興奮した。
「俺も初めてだよ、女の子にこんな話するの。でも久しぶりに本音を言ったからすっきりした。ありがと。」
彼女と話してると、すらすら言葉が出てくる。きっと、今話していることは俺の本音なんだろう。
「私もすっきりしたよ、ありがと。…ねぇ、あたしたち、いい友達になれそうじゃない?」
そのとき俺も本気でそう思ったんだ。
「うん、なれそう。っていうかなる。俺は鷹宮健吾、法学部の一年生。君は?」
彼女は笑った。心の底から笑っている、そんな笑顔だった。
「あたしは白岡結菜、経済学部の二年生。あたしのことは結菜って呼んで?お友達なんだし。」
「じゃあ俺は健吾でいいから。よろしくな、結菜。」
「うん、よろしく、健吾。」
これが俺と結菜の出会いだった。


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