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『望郷ー魂の帰る場所』
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『望郷ー魂の帰る場所ー第三章……』-11

途中、渇きを癒す為に幾度かアイスコーヒーを口に含んだ。話は小一時間にも及び、話が進むにつれて真冬の顔色は青ざめていく。そして、これがすべてだと宏行が言い終えてもしばらくの間、真冬は微動だにしなかった。

重苦しい空気が部屋じゅうを漂い、永劫に続くと思われた沈黙は、やがて真冬の発した言葉で破られた。

「宏行を疑う訳じゃないけど……」

戸惑いを隠せない真冬の台詞。しかしそれは当然の反応と言える。あまりにも荒唐無形であり、あまりにも非常識な話なのだから……

「大体、田神の作り話かもしれないじゃない?」
「真冬の言いたいコトはわかる。だけど、俺を騙して田神に何のメリットがあるんだ?」
「そ、それはわからないけど……。それに、そんなコトして御山君は大丈夫なの?」
「いくらなんでも危険過ぎるコトはしない筈さ。俺だって全面的に信用している訳じゃないけど、田神の目的は多分、以前興味があると言っていた超常現象に関する事だと思う。だから、利害が一致している限り信用出来ると思うんだ。」

淡々と話す宏行に真冬の喉が小さく鳴った。

「だけど……、なんで宏行なの?わかんないよ。」

必死に食い下がる様に真冬の質問が投げ掛けられる。真冬の疑問、それこそが宏行がもっとも知りたい事である。大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出してから、宏行はじっと真冬を見つめた。そして……

「犯人さえ知るコトが出来たなら……その時にすべてわかる筈さ。」

そう呟いた。その言葉に真冬はもう何も言い返せなかった。

だが、宏行はまだ気付いていなかった。

この先、待ち受けているのは自分の想像などを遥かに越えた出来事なんだという事を……




最終章へ続く


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