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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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全然平気だから…-2

「アダッ!もうー巴ってば強すぎるよー。」
「オラオラオラオラオラオラァッ!!はよっ投げ返してこんかいボケェ!」

静まり返った公園のグラウンドでバレーの練習をする私。

「そんなサーブじゃー、ライン超えちゃうよ、もっと正確に。」
「あぁん?てめぇーにバレーの何が分かるってんだよっ!練習逃げてぇーからってほざいた事抜かすんじゃねぇー!」

部活後も動きがぎこちなかった私は蓮を誘い、練習に付き合って貰い。

「違うよー、君の為を思ってアドバイスをしてるんだよー、後悔して悔しい思いして欲しくないしさぁー。」
「蓮…。」
「君は負けず嫌いでプライド高いからねぇー、後で陰で号泣するもんねぇー。」
「ばっきゃやろぅっ!だぁーれが。」
「僕、知ってるよ…、前回の試合でボロ負けして、校舎裏で蹲って泣いてた君を。」
「なっ!見てたの!?ったくでも関係ないでしょ、そんなの。」
「関係ならあるよ。…君のそんな姿、もう2度と見たくないもん」
「蓮……。」
「ホラッ!もっと力抜いて、正確なレシーブが出来るようにいこっ!」
「ういっしゅっ!」

ふっ、何だかんだ言って私を理解してくれる彼。不思議と気分が落ち着く。

それから練習を終え、薄暗い夜道を歩く。

ぼんやりとした街灯、時より耳にする車が走る音。

「悪いねぇー、練習付き合って貰って、大丈夫?クタクタなんじゃない?」
「そうかもねぇー、でも君の練習に付き合えて良かったよ。」

その言葉を耳にし、私はますます勝たなければならない…という責任感が増し。

「若葉も応援に来てくれて、アンタにもこうして付き合って貰って…、これで負けました
…だと、あまりにも酷い。」
「巴…。」
「でも、こんなんで本当に大丈夫かな?絶対勝たなきゃいけないのに…。」

あれ、何だろう…徐々に不安が圧し掛かって来た。

「えへへ、なーんか…大丈夫かなー。」
「巴……。無理に勝たなくたって良いよ。」
「へ?」
「そりゃー勝ちたいと思う君の気持ちを僕は大事にしてるよ…、でも僕個人としてはどうでも良いんだよね、勝ち負け何て。」
「どうでも良いって…。」
「君がさ、君らしく全力でぶつかって試合を楽しんだらさ、僕はそれで満足だけどね。」
「蓮…。」

徐々に不安の霧が晴れていき、そして。

「君が勝とうが負けようが、僕はどっちみち応援するよ、だから、思いっきり巴らしい
プレーでぶつかってきなよ。」
「……。」

穏やかな笑顔を私に向ける彼。

「!っ……。」
「……。」

歓喜をぶつけるように彼の片腕を両手で掴む。

「全く!最初出会った時は変な奴って思ったのに、こんなにもこんな。」
「巴…。」
「ねぇ。」
「なーんだい?」
「居なくなったり…しない、よね?」
「!?何、急に…。」

何だ、この反応は。

「ちょっと、弓道部に寄った時に小耳に挟んだんだけど、合宿があるんですって?それも
長い期間、別の遠い所に…。」
「………それは。」
「ねぇー、答えてよ、大事な事でしょ。」

口ごもりだした蓮、どういう事?すると水を差すように、空腹の音が鳴り出し。

「あっ!一杯練習したらお腹減って来たね!よーしいつものラーメン屋で餃子でも食べようかっ。」
「ちょ。」

占めたと言わん限り、その音に便乗し、はぐらかす彼、もうっ!



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