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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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全然平気だから…-3

私は自身のケータイ画面に目を落とす。そこには縁日で浴衣を身に纏った自分の姿が。

「我ながら綺麗に映ってるな、テヘッ!」

浴衣で帯をしっかりと締め、下駄靴まで履いて会場に向かっている時、とても気分が良かった、心が躍った。

何を行うにしても挨拶に始まり挨拶に終わる、それと同じように部活着もそうだ。普段着でも気は引き締まるだろうけど、それ専用の服装を纏うだけで気持ちも切り替わる物。

だからお祭りで浴衣を着たお蔭でテンションもグーンとあがり、大袈裟かも知れないが
浴衣のお蔭であの祭りが楽しいものになったのは間違いない。

だから浴衣を着付けに来てくれた巴ちゃんには本当に感謝している、お爺ちゃんもとい
男性には出来ないし、私も普通に服を着る物だと思っていて、当日まで着ようとも思わなくて…。あの日は夕方で部活が終わって家で寝てたと言うのに「アンタの浴衣姿を見たら
疲れ何て吹っ飛んだわいっ!」って軽く笑い飛ばしてくれて。

ほんと、彼女には感謝してる。いつか今度は私が彼女に…。

ケータイを閉じ、軽い足取りで自宅へ戻る…、すると。

「いやー、本当に良いのかい?こんなに買ってもらって…。」

晴れ晴れとした声をあげるお爺ちゃん、どうやら商品が大量に売れたそうだ。買い物袋に
大根人参玉ねぎジャガイモ等を持ったお客、私はその人に目が止まり。

「お使いを頼まれただけだからー、それにここのお野菜とーっても新鮮で美味しそうに見えたからさ。」
「くぅー長生きはするもんだなぁー、おっ!今帰ったかぁ。」
「ただいまお爺ちゃん。……久しぶり、だね風馬君。」
「あ、やっぱりここだったんだ、若葉ちゃん。」

お互い懐かしい顔を見合い、きょとーんとしたお爺ちゃんが交互に首を振り。

「知り合いかい?」
「うん!彼は…。」

幼稚園の頃から一緒で、小学校も同じ…、でも4年生に上がった時、クラスが別となり
中学も別々で…。

「クラスが変わってから徐々に関わりもなくなって来て、もう…2度と会えないと思ったら…、本当に驚いたよ。」
「うん!私もー、転校生でまさかとは思ったけど。」
「本当、会えて嬉しいよ…、神様は僕を見捨てては居なかったんだね。」

そ、そこまで…、あれそういえば。

「ひょっとしてここで買い物しに来たのって…。」
「そうだよー、クラスの人に聞いてさぁー。」
「おウチは何処?」
「うーん、学校から割と近いかなー。」
「…じゃーここから結構遠いじゃない、それだったスーパーに行った方が。」
「まぁーそうだけどー、何ー僕に来て欲しくなかった?」
「あ、あぁー別にそういう訳じゃー。」
「何年かぶりに再会した人が八百屋に住んでいるって聞いて、お使いを頼まれてそのついでに会いに行く…、何も不思議な事じゃないじゃない。」
「そ、そうだよねー、ゴメンね!あっ風馬君、浴衣見る!?この前近所のお祭りに行って来てさぁーその時に、ちょっと。」
「うわぁー、若葉ちゃんの浴衣姿!?見せて見せてーっ!」

私ってば何引いてるんだろ、駄目ねぇー小心者で……。


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