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真田拾誘翅(さなだじゅうゆうし)
【歴史物 官能小説】

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「数正様。お慕い申し上げておりました……」

恥じらいを含みながらも情念を伝える千夜の眼差し。数正が女体を引き寄せると、えも言われぬ香が鼻をくすぐる。抱きしめる腕に力を込めれば、女体は脱力し、腕の中で溶けんとする。

「ああ……、千夜は、こうしてほしかったのでございます……。ああぁ…………」

耳に心地よき嬌声。
 唇を重ねると、かぐわしき吐息を感じ、口吸いを続けると甘やかな唾液が流れ込んだ。激しく、長く、舌を吸い合っていた二人が唇を離した時には、数正の魔羅は齢(よわい)五十を迎えようというのに硬く勃ち、千夜の秘所は腫れぼったくなり潤いを帯びていた。

「千夜!」

数正は脈打つ魔羅を開(ぼぼ)に押しつける。いつもなら急くことはなく、手や口でもって乳首、陰唇、肉芽を愛撫し、相手の興奮を十分に醸し出してから交接に及ぶ数正だったが、この夜は違っていた。いきなり女の本丸に突撃を仕掛けた。

「あうっ…………」

魔羅の突っ込みに陰唇が巻き込まれ、千夜は苦悶の声を上げる。しかし即座に指を唾液で湿し秘所に塗り込める。巻き込みが戻り肉茎の挿入が滑らかになる。腰振りが始まると膣道は即座に愛液を滲ませて抽送を潤滑たらしめる。

「ああ……、数正様ぁ…………」

切なさ七分、甘さ三分の声を上げると、男は意馬心猿を焚きつけられ挿入の度合いを深める。

「そ……、そんなにされては……、千夜は、もう……、もう…………」

男にしがみつき、尻をせり上げる。数正の魔羅の撃ち込みに力が籠もる。
 千夜の秘壺は変幻自在の締まり、窄(すぼ)まりを見せ、男を夢中にさせる。流す汗は女の生々しい臭いに不思議な芳香が入り混じり、数正の官能をいや増す。秘唇からは女の汁が盛んに溢れて淫靡な湿った音をたて、閨の相方の煩悩を刺激する。
 そして、数正の執拗な抽送が続くと、千夜は淑やかな嬌声の底に女の本性ともいえる動物的な唸りを潜ませる。その唸りは徐々にはっきりと顔を覗かせてゆき、男を興奮させる。
 やがて、あけすけによがり声を上げ、男に組み敷かれながらのたうち回る千夜。

「ああっ……! ああああ〜〜〜〜〜〜!! あああああああっ…………!!!」

千夜が強く、深く逝ったのを知り数正は男としての矜恃を保つ。そしてさらに女を攻め立てる。
 千夜は続けざまに何度も逝き、痙攣し、身体を激しく波打たせる。数正はすっかり男の面目を施し、自分への褒美とばかりに抽送を速め、思う存分、どぷっ! どぷどぷっ! と精を放つ。いつにも増して甘美な稲妻が魔羅を駆け抜け、男は数度、腰を大きくひくつかせる。
 そして、交合を解いたあと数正が見たものは、薄目を開け陶然とした千夜の容(かんばせ)だった。美しかった。この女は何があっても手放すまいと思った。

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「すっかり千夜に魅了されてしまった数正。ひとたび味をしめれば、次の晩も欲する。そしてまた惑乱。やがて千夜は下働きから側女へと格上げになる。かくて、数年を経て、千夜の名のごとく千もの夜、契りを結びし男と女。自ずと心もあい通ずるようになる」

「そこからが、千夜様の本領発揮」久乃が話を導く。「数正の心根に働きかけたのでござりますね?」

「さようさよう」昌幸が女童らを見回しながら言った。「少しずつ、数正の心が家康から離れるように仕向け、逆に、秀吉の人間的魅力をふんだんに吹き込んだ。それがついに功を奏し、数正は秀吉のもとへと出奔……というわけじゃ」

「しかし、出奔したのが上田城の落城寸前とは、運がようございました」

久乃の言葉に昌幸がニヤリとする。

「数正のもとに草の者(忍者)を放ち、家康が数正のことをよく思っていないという流言飛語を盛んにばらまいて千夜の後押しをしたからのう」

「千夜様も凄うございますが、大殿様の詰めの一手が効いたのでございますね」

久乃が感心しきりで下ぶくれの頬を火照らせたが、他の女童たちは閨の話で興奮したのか、はたまた、大きく傾いた西日を浴びているせいなのか、皆そろって赤い顔をしていた。

「さあて、そろそろ帰るとするか」

昌幸の声で皆は腰を上げ、山あいの里へと、やや足早に歩を運んでいった。夕焼けに浮かぶ十の影の連なりは女童特有の愛らしさに満ちていた。先頭をゆく早喜は何やら可愛く鼻歌を歌っていたが、後ろに続く童女たちが「大きくなったら千夜様のように、見事に男を惑わす女になりたいのう」などと語り合うさまは、年齢にそぐわず、いささか妙であった。


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