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冷たい精液
【女性向け 官能小説】

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Scene 3-1

「じゃ、芹沢君のこれまでの仕事ぶりへの感謝と、柳本君との門出を祝って。」

「…ありがとうございます。」

香織のグラスと部長のグラスが触れ合い、澄んだ音が響く。

「…おいしい…。」

口に含んだワインを喉に流すと、香織は小さな感嘆の声を上げた。

部長は眼鏡の奥に静かな笑みを浮かべたまま無言で小さく頷きかける。

躊躇することなくアルコールを注文した部長に対し香織はもちろん車の心配をした。

しかし、私は代行で帰るのできみはこれを使いなさい、と部長の名前の入ったタクシーチケットを渡され、いくぶんか不安と緊張がほどけた気がした。

「…こんなおいしいワイン、初めてです…。」

「そう言ってもらえると、連れてきた甲斐があったね。」

1流ホテルのレストランバー、若い二人の給料では相当無理をしないと来られない店。

飲んでいるワインの金額も、香織には見当がつかなかった。

「会社としては本当に痛いよ。芹沢君に辞められると。」

「そんな…。でも、ありがとうございます。そう言って頂けると、光栄です。」

「式の予定は?」

「はい、来年の6月を予定しています。」

「ジューン・ブライトか。呼んでもらえるのかな?私も。」

「もちろんです、部長。」

「楽しみだね、芹沢君のウェディングドレス姿…。」

またあのねっとりと絡みつくような視線を感じ、香織はうつむいた。

「いろいろ大変だろうね、準備が。」

「はい。でも柳本さんには仕事に専念してもらいたく思いますので、私が頑張ろうと思っています。」

「そうか。彼も仕事に対する姿勢が変わったね、以前と比べると。きみとの婚約が整ってからは。」

「そうでしょうか…。ありがとうございます…。」

「柳本にはきみはもったいないなんて陰口を叩く連中もいるらしいね。他にも何人かきみを狙っていた奴がいたとか…。」

「さあ…。私は聞いたことがありませんが…。」

「ふふ…いずれにしろ、婚約から挙式までの間は女性が最も美しく輝く特別な時なんだと思うね、私は。」

グラスにワインを注いでもらいながら、香織は火照った頬を隠すようにうつむいた。

おいしい食事とおいしいワインは確かに心を高揚させる効果がある。

生理的に受け付けないと思っていた部長の話に、今ではくつろいだ笑い声を漏らしてしまうことさえあった。

「ほんとうに、今日はごちそうさまでした。とってもおいしかったです。」

会計を済ませた部長に、香織は心からの礼と共に、無垢な笑顔を見せた。

頼りがいのある大人の男性に若い女性が見せる、信頼しきったような笑顔。

「今度は是非柳本君も一緒に、ね。」

「はい、ありがとうございます。柳本さんも部長とご一緒させて頂けたら、絶対喜ぶと思います。」

「じゃ、連絡先聞いておこうか。」

エレベーターの扉を押さえながら部長がスマホを取り出す。

「え…、えっと…。」

私はそのエレベーターに乗り込み、仕方なくバッグの中からスマホを取り出す。

エレベーターの扉が閉まると同時にスマホを持った手を掴まれ、身体ごと引き寄せられる。

「っ…ちょっ…。」

部長の身体を突き放そうとした瞬間、首筋にちくりとしたかすかな痛みを感じた。

ドクンッ…。

強い力で抱き寄せられたまま、心臓が一度だけ大きく波打つ。


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