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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-99

「ん、んん………んふ……」
ふたみの太股が力なく開く。膝のショーツが引っ張られ、細く伸びた。
 ぴくぴくぴく、と内股が震える。高まりの最頂点は、間近にある。
「っ!!」
 指を、もう少しだけ奥に沈めた。かすかに痛みが走ったが、それを探知したふたみの身体が、さらに蜜を溢れさせて、負の要素から主人を守ろうとする。その甲斐あって、痛みは、じくじくとした鈍い別の快楽に変貌していた。
 ヒトの身体は、不思議だ。こんな行為にさえ、正直に、その肉体を守ろうと作用する。
「あっ、あっ、あっ、あっ………」
 しかも、悦楽に形を変えて。
『だ、だめ………へ、んに……なるぅ………ぅ………あ、……や、やだ!!――――――――っっっっっっ!!!』
 聞こえるはずのない、姉の喘ぎ声が、耳の奥から溢れてくる。
『ふたみちゃん、よかったら、隣町の本屋にいかへんか? なんやら、おもろい新刊がでとるんや。……あ、みのはんも一緒に、で、どうでしょ?』
 見えるはずのない、轟兵太の顔が浮かぶ。
『ふたみちゃん、よかったら――――――』
「あ、あくっ!」
 刹那、身体に電気が走った。兵太のビジョンが、真っ白い霧の中にかすむ。

 びくっ、びくびくびく………。

 太股の奥を震源とする直下型の強烈な痺れに、ふたみの意識は掠め取られていた。





「ワイはいま、岐路にたっとる……」
 兵太は、眼前にある一枚のペアチケットを前に、ひとり唸っていた。
「何を大袈裟な」
 食事後の洗物を済ませた弓子が、エプロンを外しながらリビングへ戻ってきた。
「これを素直に受け取れば、きっと、なにか、ワイは大事なものを失って……」
「アホ」
 ごつ、と後頭部を弓子にどつかれた。本場仕込みの、鋭いツッコミだ。
「慣れたところから転校させられた愛息を、不憫に思って用意してあげたんよ」
「わかっとるよ。気持ちは嬉しいで、オカン。しかしやね……」
 兵太は、そのチケットに記してある注意書きのことを指摘する。
「ペアチケットなんは、どういう了見や?」
「転校してきて半月。そろそろ気になる子でも見つけたんと違うの?」
「う」
「文芸部やったね」
「ぬ」
「本屋で仲良くしとったやないの」
「ぅ」
 オカン、いつの間に? 兵太はなくした言葉を、胸のうちでつなげる。
「あれは、あくまで部活の仲間としてや」
「その割には、まんざらでもないって感じやったやない。冷めたあんたにしては、珍しい。これは、親として応援したらなあかんと思って」
 このプラチナチケットを用意した。そう言うのだ。
「でも、ふたみちゃん、あんまり人ごみ好きやない言うてたし……」
「いまは学校もはじまっとるし、うまい具合に創立記念日があるやない。平日なら、それほどでもないやろ」
 現場の人間が言うのだから、ある程度までは信じてもいいだろうが、地方にあるとはいえ、それなりに知られるレジャー施設だ。やはり、相応の人入りはあると見ていい。


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