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恋愛模様
【初恋 恋愛小説】

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恋愛模様-1

『今から夕飯。
そっちは食べたの?』
 夕飯時、キッチンに立ちながらメールを打つ。送信して、携帯をデニムパンツのポケットに押し込む。
 料理再開。一人暮らしだけど料理には手を抜かない。タマネギ、ハム、ニンジンをみじん切りにして炒める。そう、今日はオムライス。昨夜作ったハヤシライスのソースをかける。ハヤシオムライス…口許がにやける。これが凄く美味しいのだ。

 私、新村 沙夜(ニイムラ サヨ)。ただ今大学二年生。身長158cm。平均的日本人女性サイズらしい。髪型はショートボブ。活発で元気!くらいしか自慢出来無い、ごく普通の私です。

 ブブブ…携帯のバイブが響く。メールの返信かな。いったん火を止めて携帯を開く。
『バイトお疲れ。
夕飯はまだ。もうすぐお湯が沸くから、まぁソレかな』
 それって…はぁ……。大学生にもなって夕飯がカップラーメンかよ!なんだか頭にきて携帯の電話帳を開く。…奴の名前を……
 ピッ…!プルルルル…プルルルル…
「どした?サヨ、お前もラーメン食いたいのか?」
 電話を受けて早々、この発言。つい、私のボルテージが上がってしまう。
「んな訳あるかっ!さっさと支度してウチに来な!」
「サヨ、あんま怒ると血圧上がるぞ。」
 電話越しに溜め息を吐いているのが分かる。吐きたいのはこっちの方だ。
「んな呑気な事言って無いで早く来な!夕飯一緒に食べるよ!」
「えー、俺、ラーメン1個しかないのに」
 全然会話が通じてない。…奴は天然だったっけ。
「誰がお前のカップラーメン食うって言った?あたしの家で夕飯食べるんだよ!」
「カップラーメンじゃないやい!フツーの袋の…」
「ごちゃごちゃ言ってないで早くしろ!冷めるだろ!」
「う…わかった、すぐ行くから、あんま怒るなよ…」
「まったく…早く来てね?」
「はぁい。んじゃ、後で」
「はい、んじゃね」
 まったく…。冷凍室からご飯を出して追加するか。

 ヤツ…西倉 大樹(ニシクラ タイキ)こと《たぁき》とは幼馴染み。小学校の入学式で隣り同士になった以来の付き合い。小学校時代はクラス替えがあっても一度も離れなかった。ちょっと運命だったのかな、初恋だと今でも思ってる。…いや…現在進行形、なのかも。だから、離れられない。

 じゅわわぁぁ…卵が勢いよく鍋に広がる。バターの良い香り。たぁき、オムライス好きだから喜ぶな。きっと。

 たぁきとは、もう愛だか恋だか解らない。一緒にいないと寂しいし、離れるなんて想像もつかない。でも、キスやセックスなんてもっと想像つかない。好きだけど…臆病だからかな?『好き』の一言すら喉に張り付いて言葉に出来ない。

 チキンライスを卵で包みながら、別の鍋に固形コンソメを溶かす。タマネギを散らして、手抜きコンソメスープにしよう。

 そうそう、たぁきとは高校も同じで、さすがに科は違うけど大学も同じにした。田舎から一緒に都内の大学に通うようになり、一緒に一人暮らしも始めた。同じアパートで隣り同士。だからこうして夕飯を一緒に食べる事も多い。って、隣り同士なのに携帯で連絡し合うなんて…結構間抜けな私達だ。


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