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【その他 官能小説】

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こじらせ処女-8

田所さんは、処女に強いコンプレックスがあったから、自分が処女であることを友達にすら言えなかったそうだ。


だから、その場で心臓がバクバク脈打ちながらも、周りにあわせて一応笑うふり。


処女って、やっぱり恥ずかしいことなのかな、そう悩みながら。


そんな笑いの場の中で、ツトムくんが言った一言が致命傷になるのである。


『でもさあ、男なら相手が処女だと嬉しいもんなんでしょ?』


隣で飲んでいた、田所さんの友達が口を開く。


確かにその意見はネットなんかでもよく目にしていた。


男は、処女をありがたがる。そんな処女崇拝的な風潮を。


コンプレックスはあったものの、そういうネットの意見があるから、ツトムくんの誠実さにそんな風潮を重ねて、微かな望みをかけていたのだ。


だけど、ネットとリアルの違いを思い知らされる。


そんな質問を受けると、男性陣は互いに顔を見合わせてはニヤニヤして、なんとなく歯切れの悪い反応。


そして、微妙な間をあけてから、ツトムくんが男性陣代表として、


『うーん、処女って重いから遠慮したいもんでしょ』


そうカラカラ笑いながら、まるで悪びれもしないでジョッキに口をつけた。







「酔ってる時ってついつい本音が出ちゃうでしょ? あれがツトムくんの本音なんですよ」


長い話を終えた田所さんは、冷めたコーヒーを一気に飲み干した。


なるほどな。


ネットじゃない、リアルの男の本音で『処女は嫌だ』という意見を、しかも愛するツトムくんの口から聞いてしまったもんだから、処女であることにいよいよ危機感を持った……そういうわけか。


スンスン鼻をすすりながらも、しっかりマドレーヌの袋を開ける田所さんを見て、俺は眉を潜めた。


……ってかさ。


それって彼女じゃなく、遊び相手の場合について、言ってんじゃねえの?




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