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こじらせ処女-7

俺からすれば、好きだからセックスするのが愛だと思っていたのだが、田所さんは、好きだからセックスを我慢するのが愛だと、そう信じていたそうな。


だから、ツトムくんが手を出してこないのは、男と付き合ったことがない田所さんを処女だと思っていて(実際バージンなのだが)、身体を大切に思う故だからだと。


うん、真面目な男ならそうだろうな。


じゃあこんなとこ来る必要ないよね? 彼氏と自分達のペースで結ばれたらいいよね?


やっぱり田所さんがロストバージンをうちにお願いする理由がわからなくて、腕組みをしたまま俺は首を傾げる。


「ツトムくんは、あたしのためにきっと我慢してくれてる……、ずっとそう思ってました」


でもそんな純粋な思いが、脆くも崩れ去ることになったのは、ツトムくんの友達の話がきっかけとなった、と田所さんはシワ一つないハンカチで目尻を押さえながら言った。


それは、田所さんカップルへの冷やかしもそこそこ落ち着いて来た頃、今度はツトムくんの友達の一人が、ナンパした女の子とセックスした時の話に移り変わった時のこと。


『こないだナンパした女の子さあ、メチャクチャ可愛くてスタイルもめっちゃよかったし、ノリもよかったんだけどさあ』


喉を鳴らしながらビールを飲み込み話す、ツトムくんの友達もまた、爽やかな好青年で、大学生のイメージのまんまの若者らしい。


そんな典型大学生の彼は、次にこう言ったのだ。


『ホテル行ったら、なんと処女でさあー』


その口調からは、決して処女に対して好意的な感情を持っているとは思えない、処女を小バカにしていた態度だったと言う。


『怯えた顔して俯いてるの見たら、萎えちゃってさあ。結局ヤらないで逃げてきちゃった。やっぱり20歳過ぎての処女って重いよね』


そんななんとも情けないオチに皆が笑ったのだ。


バージンの田所さんを除いて。




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