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虹色の楽譜
【女性向け 官能小説】

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珍しく、エントランスを行ったり来たりの広報部の皆さんが
スマホを片手に慌てていた。

「広報部。何かあったんでしょうか?」
隣に座っている同じく受付の井上さんに聞いたら
「どうも、今日撮影予定のCMのピアノの伴奏者が
指を怪我したらしいの。
イメージに合わせて社長の知り合いの方に作曲をして頂いているから
今更、曲の変更は会社の体面上できないし
かと言って、初見でその曲を弾きこなせる演奏者が見つからないらしいのよ」
「それは大変ですね。プロの方でも難しいんですか?」
「どうしても今日録音しないと間に合わないらしいんだけど。
プロの方はそんな仕事は引き受けないらしいの」
「ああ、なるほど」

そんなときにエントランスで加藤さんが
「音大まで広げろ!音大に連絡を取って
ピアノ科のトップを紹介してもらえ!」と電話に向かって叫んでいた。

え?大学生でも、良いの?

そう思っていたら受付の隣を柳下さんが通った。
「柳下さんっ」
「はい?」
「一人演奏者の心当たりがありますっ」

私をじっと見つめた柳下さんが
「だれ?」と急かすように聞いた。

「音大生ですが、ほぼ毎日レストランで弾いています。
バックミュージックなら得意です」

ピアノの事は何も分からない私だけど
奏くんの腕が相当なのは分かる。

それでも「俺なんかダメだよ」と言った奏くん。

万が一でも、これが何かのきっかけになればいいと思った。




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