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虹色の楽譜
【女性向け 官能小説】

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それから、奏くんがバイトの日は
会社帰りにお店によるようになった。

奏くんは
「茜さんの食事代は俺が払う」
なんて言ってくれたけど。
オーナーが
「お前のバイト代で払えると思うな?」
とニッとした。
確かにこのお店は高級だ。

「私が払います」
という私にオーナーは笑顔で
「村松さんが来ると奏の演奏が変わるから。
常連が喜ぶんだ。村松さんの食事代ぐらいの効果はいただいてる」
と言ってくれた。

土日には、ゆっくりとデートをして
夕方からこのお店にピアノの練習に来る。

奏くんは本当に遊んだ事がないようで
どこに行くにも「初めて」を連発した。

オーナーがいい加減に接しないでほしいと言った言葉が今なら分かる。

この子、真っ白なんだ。

ピアノ以外、何も知らないんだ。
私がいい加減に接したら、たぶんこの子にそうインプットされる。
ちょっと怖い。

それでも、奏くんのピアノを聴いているのは本当に心地よくて。
「音大でも、成績は上の方でしょう?」
と聞くと、
「まさか。俺なんか全くダメだよ」
と、謙遜でもなさそうに苦笑いした。

「コンクールでも出ればいいのに」

奏くんの可能性を広げたくて、何気なく言ったその言葉が
実は奏くんを傷つけていたとは思いもしなかった―――




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