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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 4.-11

「愛美ちゃんがなんとなくおかしいな、っていうのは、横浜で会った時、気づいてた。……だから八重洲で待ち伏せしたんだ。帰りだと彼氏と一緒にいるかもしれないからね。行く時を掴まえた。偶然装って。時間もないから少ししか話できなかったけど。……有紗ちゃんみたいにややこしくないからね、愛美ちゃんは」
 明彦の声だけ笑った。そういった緩和を挟まなければ告白を続けられないようだ。
「もしかして悩みあるのかな、お姉ちゃんに言い辛かったら俺が相談に乗るよ、ってね。……そしたらすぐに連絡が来た。有紗ちゃんも知ってたでしょ? 愛美ちゃんの悩み」
「お、おねえちゃん、あ、あのね……」
 息を詰まらせながら愛美が自分で告白しようとするのを庇うように、明彦が言葉を繋ぐ。
「……暫くメッセージやりとりして、じゃ、じっくり話聞いてあげよう、って晩メシに誘った。別に言い訳するわけじゃないけどさ、飲ませてないよ? 愛美ちゃんが自分で飲んじゃったんだ。……あとはお決まりの流れで、この部屋に来てくれた。……俺のこと、殺してくれていいよ?」
 有紗が溜息をついて、
「愛美が泣き止んだら、そうする」
 と、抑揚のない、いつものハスキーな声音で明彦に告げると、
「だめ……、っ、……おねえちゃん」
 と愛美の声が聞こえてきた。何が駄目なのか。有紗は愛美の顔を上げさせて理由を問おうとしたが、その前に明彦が、
「……酔いが冷めた愛美ちゃんは、自分で誘っておいてなんだけどさ、見てられなかったよ。彼氏もお姉ちゃんも裏切ったって、可哀想なくらい落ち込んだ。私は最悪な人間だって何回も言うんだ。……お母さんのことも、自分が殺しちゃったってね。こんなことするダメな子から、バチがお父さんも死んでしまったって」
 明彦は組んでいた両指を崩し、額に掌底をついて、少し声を震わせた。「有紗ちゃんに仕返ししたかっただけだったんだ。愛美ちゃんをそこまで苦しめるつもりは全然なかった。俺のせいだよ。……だから」
「ううん、おねえちゃん……。私、じ、自分で言ったの」
 愛美がよじ登ってきて、涙でこごる顔を有紗の目の前で左右に振って訴えた。「私が、メ、メチャクチャにして、って言ったの。お、おねえちゃんの彼氏なのに。……か、彼氏なのにっ。だから、私が悪いの」
 何だろう、この庇い合いは。
 だが眼前の妹の顔からはかつての全一の純真さは消えて、姉に不義を働いたことを詫びながらも、黒目の奥には、何があろうとも、たとえ姉であっても譲る気のない身勝手さが滲んでいた。こんな目をした女を、鏡の中に見てきた気がする。




 七年もこんなことを続けてきても、常に初見のラブホテルに来れるということは、いったいこの世界にはいくつのラブホテルがあるのだろう。ホテルに来なければ、セックスが侭ならないカップルが世の中にはそんなにもいるものだろうか? そんなことを考えながら、有紗は手を引いて先に入っていく信也の背中を眺めた。今時珍しく曇りガラス越しに鍵を受け取るタイプのホテルだった。これまでのホテルだって、管理する側は防犯上、どんな客が入室したかくらいは見張っていたのかもしれない。大企業の上職らしく身装は良いが、ホテルに足を踏み入れる頃には悍ましい淫欲に気色悪く顔を上気させている中年男に連れられた女は、いったいどう見られていたのだろうか。
 エレベーターの中で壁に正面から押し付けられた。グロスもリップも全て舐めとらんばかりに貪られ、スカートから荒々しくブラウスの裾を引き出し、中に入れられた手でバストを揉みしだかれた。部屋までまもなくなのだし、今日の時間もたっぷりと残されているのだから、もう少しくらい待てばいいのに、ブラがズレてしまうほど手のひらを全て使って胸乳を揉んでは、カップの中で刺激を受けて硬突し始めた乳首を摘んできた。呆れるあまりに漏らした息を恥辱の呻きと勘違いしたのか、涎の糸を引いてニタァと嗤った信也は、エレベーターが開くと先を急いで部屋へと引っ張っていく。そして鍵が閉まるなり、また壁に押し付けられた。外観と入室システムからして古さは予想されたが、悪趣味なパステル調の壁紙に覆われた部屋の、消臭剤でも芳香剤でも隠しおおせない仄かな黴臭さに顔を顰めた。そんな有紗にはお構いなしに壁を背負わせた足元に屈むと、信也は片脚を肩に乗せ、緩ませた太ももの間に顔を突っ込んで裾を捲り上げてきた。内側の肌にかかる湿った息と部屋の臭いが鬱陶しいほどマッチして、一瞬面倒臭さに囚われそうになったが思い直し、有紗は叔父の頭がスカートの前を丸く膨らませて迫ってくるのを両手で抑えた。
「や……」
 小さく羞恥を漏らす。気温が上がってきて、少し外を歩いただけでも、汗が滲んでいる筈だ。どれだけ拒絶しても何度となく嗅がれてきて、どうせ意のままにされると思うと、実は嫌悪感と抵抗心が薄かったのだが、女としての嗜みを努めて思い出し、それを糧として淫虐に怯える手弱女を装った。
「んふっ、どおしたぁ? ハズかしいのかぁ?」
 案の定、叔父の嬉しそうな声がスカートの中から聞こえてくる。返事は心得ていた。
「や、やめて……。せめてお風呂に入らせて」


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