ゆう子-2
そんな折に台頭してきたのがシネアートと言う新興レーベル。
シネアートはAVメーカーでありながらプロダクションも併設し、自前の女優を大事に育てながらロマンポルノのドラマ性も受け継いだ質の高い作品を送り出し急成長を遂げていた。
そこに一縷の望みを見出したゆう子はシネアートに移籍、そしてシネアートはゆう子のジリ貧がゆう子自身の問題ではなかった事を証明した。
中学、高校時代の演劇経験に加えてAV女優としても10年のキャリアを持つゆう子は自然な演技が出来る。
例えば夫に相手にされなくなった妻が若い男との不倫に走る、と言った熟女ものにありがちな設定でも、ゆう子は寂しさや躰の火照りと言ったような部分を自然に表現できる、その結果、見る者はゆう子の火照りを冷ましてやりたいと切実に感じ、セックスシーンにも感情移入できるのだ。
SMものやレイプものでもゆう子の演技は光った。
ゆう子が抗ってみせるのは襲って来る男に対してばかりではない、押し寄せてくる快感に抗い、絶頂を拒否しようとするものの、自らの内にある性には勝てずに陥落してしまう・・・そんなシチュエーションを表現する時、ゆう子の表情と溜息はそれだけでも男の股間を直撃する。
そんなゆう子がシネアート移籍5年の集大成として、外部からのシナリオライターを得てこれまでなかったようなAVを作り上げた。
それが、今作の「古都慕情」だ。