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【その他 官能小説】

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底辺からの出発-3

ここでのAV男優ってのが、俺。


今は御代田光司として、社長業をしているけれど、「ずん田もち夫」と言ったら、アダルト業界ではちょっと名の知れた男優だったんだぜ?


俳優みたいなすごいイケメンではないけれど、平凡だけど爽やかなルックスを売りに、色んなセクシー女優とセックスしてきた。


見た目は中の上程度。そんな特徴的な外見はしていないけれど、スケベなことは大好き。


高一で筆下ろしを済ませ、女の味を知ってからは狂ったようにセックス三昧、そんなありふれた男子高校生がAV男優になったかと言うと、だ。


よく、借金が返済できず、AVや風俗の世界に堕ちてしまう女の子っているだろ?


早い話、それの男バージョンなのだ。


親が経営していたネジ工場が潰れたのは、大学の進路も決まり、毎日高校に遊びに行ってるような3学期の、とある寒い日だった。


当時付き合っていた彼女と、校内の空き教室でセックスして、帰った日。


家に入ると、家具や家電、ありとあらゆるものに「差し押さえ」と書かれた紙が貼られているのが目に飛び込んできた。


ちょっと高価な調度品に白い布を被せ、引越業者のような作業服を着た男らが、それらを次々に持ち出す異様な光景。


広いリビングの隅でそれを眺める親父。


その虚ろな瞳は、今でも脳裏にはっきり焼き付いている。


年を取るごとに痩せていった親父が、この日ほど小さく見えることはなかった。


聞けば、既に工場は差し押さえられていて、それでも借金返済がカバー出来ず、その魔の手は我が家にまで及んだとのこと。


勿論、俺の部屋のテレビも、パソコンも、ベッドも、やっと買ってもらった自慢のレスポールのトラ目のギターまで、根こそぎ作業服集団に持っていかれた。


尻の毛まで毟り取られるなんて、まさにそんな表現がピッタリだった。


まるで他人事に見えるこの光景。


この日を境に俺の転落人生が幕を開けたのだ。




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