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忘れ得ぬ夢〜浅葱色の恋物語〜
【女性向け 官能小説】

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たどり着いた場所-4

 私は神村の目を睨み返し、乱暴にその口に自分の唇を押し当てた。神村はまたんんっ、と呻いた。そして私は二人の身体の隙間に挟み込まれた手で握っていた神村のものを自分の谷間に宛がった。
 神村は反射的にぐっと膝を立てた。

 私の身体は、すでに強烈に神村を求めていたが、鋼のように硬くなり熱く脈動しているそれを、私は簡単に中に入れさせなかった。
 神村は息を荒げ、焦ったように言った。「シ、シヅ子ちゃん! 入りたい! 君に入りたい!」

 ――『シヅ子ちゃん』。神村は、興奮が高まって私の名を呼ぶ時、初めての夜以来口にしなかった呼び方で叫んだ。

 私の秘部から溢れ出していた熱い雫が、彼のその先端を濡らし、流れ落ちて、握っている私の手を温かく潤した。
「シヅ子ちゃん! お願いだ! 僕を中に! も、もう限界だ!」
 神村は異常なほどに焦り、興奮した。

 私も同じようにそうやって焦らし続けることに限界を感じ始めていた。

 私は彼の喘ぎに応えるようにゆっくりと腰を落とし始めた。
「ああ……シヅ子……ちゃん」神村は目をぎゅっと閉じて、ため息交じりにひどく幸せそうな呻き声を上げた。

 神村の鋭く天をさしていたものが私の中に入っていく。その部分から身体全体にざわざわと快感が広がっていく。私は思わず顎を上げてその感覚に身を委ねた。ゆっくりと、しかし熱くとろとろと、まるで海に沈みゆく太陽のようにそれは私の身体の中に甘い痛みを伴いながら、二度と浮上できないかのように深く深く入り込んでいく。

 もう何度目だろう、と私は考えたりした。こうやって何度、この人の身体を受け入れたのだろう、と息を荒くしながら思った。

 ふつふつと身体の中から湧き上がっていた痺れにも似た甘い疼きが、一気に全身の肌を走り抜けた。私は思わずああっ、と叫んだ。それと同時に腹部がびくびくと痙攣を始めた。
 いつしか神村のものは身体の奥深くに到達していた。私は彼の上で身体を揺すり始めた。
「ああ……」

 神村は結びつけられた両手を私の身体から抜いて万歳のような姿になり、身体を仰け反らせた。そして苦しそうな表情で顎を上げ、大きく声を上げて喘ぎながら身体をよじらせもだえ始めた。その姿は私が初めて目にするものだった。そして男性もこんなに激しく全身で感じるものなのか、とひどく意外に思いながらその姿を見下ろした。
 考えてみれば、今までずっと私が下になって、この人に感じさせられ、乱れていた。それが逆転している事実が今までにない興奮を呼び覚まし、彼を征服しつつある哀しい満足感に浸りながらますます身体を熱くして私も大きく身体を波打たせた。
 身体を起こし、少し前屈みになって、汗が噴き出し始めた神村の胸に両手を突き、その人の大きな身体を思い切り押さえつけながら私は大きく身体を上下に揺らし続けた。その度にぬらぬらと抜き差しされるいきり立った彼のものが、私の谷間の中からあふれ出る雫を蹴散らして彼自身の下腹部に飛び散った。

「シヅ子! シヅ子っ!」神村はますます大きく身体をくねらせ、絶叫に近い声を上げ続けた。
 シーツに踏ん張って身体を支えていた膝ががくがくと震えた。ひどいめまいがしてよろめき、私は思わず目をかっと見開いて身体を倒し、はあはあと喘いでいる神村にしがみついた。

「シ、シヅ子!」神村は手首を激しく擦り合わせて、結ばれていたネクタイの拘束を自力で解いた。それは固い結び目を残したまま、枕の脇に無造作に転がった。
 彼は胸を大きく上下させながら苦しそうに、喉の奥から絞り出すような声で言った。「も、もう……」
「だめ、まだ! まだイかないで! お願い、イっちゃだめ!」私は叫んだ。
 乳房を神村の胸に強く押しつけ、私は彼の肩に顎を乗せてその耳たぶを咬んだ。
 んん……、と呻いた神村は私の背中を解放されたその腕でぎゅっと締め付けた。私は同じように背中に回した手に力を込め、その熱く湿った肌に爪を立てて、さらに大きく身体を揺すり続けた。

 彼の耳から口を離した私は、喘ぎながら無声音で囁いた。「照彦さん! わたしだけを見て! 今はわたしだけを!」
 そして彼の肩に強く歯を立てた。
「いっ!」神村は大きく叫び顔をゆがませた。

「シヅ子! シヅ子っ!」神村がびくびくと身体を痙攣させながら大きく叫んだ。「シヅ子っ!」
「照彦さん!」
「好きだ! 君が大好きだ! あ、あああーっ!」
 一緒に動いていた神村の身体が硬直した。
「わたし、わたしっ! んんんんーっ!」私は彼の汗だくの胸に手を突いて突っ張り、身体を仰け反らせた。神村は私の二つの乳房を両手で大きく包み込み、顎を上げ、苦しそうに歯を食いしばった。

 神村はぐううっ、と大きく呻いて身体を大きくベッドから跳ね上げた。そしてその瞬間、私の中心に激痛にも似た衝撃が襲い、彼の身体の奥深くから一気に噴き出した熱い思いが勢いよく、上で瞳に涙を滲ませながら全身を紅潮させぶるぶると震わせている私の中に迸った。

 どくっ! どくどくっ!
 私の身体の最深部の空間を激しく何度も押し広げながら、その男性は自らの熱い思いを何度もその中に注ぎ込んだ。

 私は声も出せずに全身を細かく震わせ続けた。その両目から溢れ、頬を伝った幾筋もの涙は神村の紅潮した逞しい胸にぽたぽたと落ちて、彼の汗と同化した。



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