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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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勇気と劣等感-1

「はぁー。」

放課後の教室掃除、回転ほうきに顎を乗せ意味も無く黒板に視線を置く。

巴ちゃん達が折角佐伯君を誘い動物園に連れてってくれたり、クッキーを彼に渡し背中を押してくれたりしたのに、声一つ掛けられなかった…。

私は彼が好き、だからもっと距離を縮めたい…けど。

「若葉。」

このまま私は彼に話も出来ず終わってしまうのか。

「若葉!」
「!!」

思いに老けていてボーとしてしまい、巴ちゃんに声を掛けられハッとする。

「ほら、掃除終わるから集まって…。」
「うん、御免ね。」


オレンジ色の夕陽が私達を照らす。

「私、今度こそ頑張ってみる。」
「若葉…。」

佐伯君が、教室で巴ちゃん達の奇行に不満を言い放ったあの日から、私は巴ちゃん達への罪悪感もあって自分から声を掛けようとより積極的になって挨拶をしようとしたり彼の部活に足を運んだりして。だが結局全ては未遂、体育館に行ったダケ、挨拶しようと心の中で想い、口と目を開けて視線を送るだけ。今度こそ頑張ってみる…だなんて聞き手の巴ちゃんからしたら、イライラする言葉。でも彼女は怒る事も溜息をつくこともなくただ静かに耳を傾けてくれる。私の想いを理解してくれてるんだね。

「次は水族館にでも誘おうかな。」
「駄目だよっ!そんな事したら巴ちゃんの立場が。」

あれから巴ちゃん達は佐伯君と一応よりは戻したみたい。でも、また同じような事をしたら彼らの友情にヒビが入りかねない。私がウジウジしたがあまりにそんな事になってしまうだなんて想像したくもない。それを阻止する為にも早く私に勇気を。

「無理に焦って声を掛けなくて良いよ。」
「でも、それじゃー。」
「もしかして私、焦らせちゃった?だとしたらゴメン。」
「そんな!こっちこそ、イライラするよね、こんなウジウジした私に。」
「仕方がないっしょ、そうやって声を掛けるのに苦労するのはそれだけ彼の事が好きだって証拠、彼を誘おうとするのがアンタの障害になるなら絶対しない、若葉が必要だって言うならやる、私も蓮もアンタを応援してるダケだからさ。」
「巴……ちゃん、ありがとう。」

絶対に声を掛けよう、巴ちゃんの為とかじゃなくて、自分の為に。


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