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浦和ミュージックホール
【その他 官能小説】

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インタビュー ウィズ 蘭-2

 「あたしのショー、どうだった?」
 「流石にベテランだと思ったよ」
 「うまく逃げたね、わかってるのよ、自分じゃ・・・今時ディスコダンスなんて古臭いし、歳相応の色気はなかったでしょう?」
 「う〜ん、確かにディスコは・・・」
 「もっとしっとりした踊りも練習したのよ、でもさ、結局根がガサツなのよね、しっとりした色気って出ないからまたディスコに戻したのよね・・・わかってるんだ、アップテンポの踊りじゃ若い娘には勝てないし、しっとりした感じも出せない、どうしたものかなぁ・・・」
 「ラストのオナニーショーは良かったよ、俺だけじゃなくて廻りも引き込まれてた」
 「アリガト、まあ、あの部分は自信あるのよね」
 「本気で逝ってただろう?」
 「うん、マジでね、そうじゃないとやっぱり嘘臭くなるし」
 「そこじゃないかな」
 「え?何が?」
 「前半もさ、無理に若く見せようとしてるからいけないんじゃないかな」
 「だけどディスコダンスだよ」
 「だからさ、別なダンスを考えたら?」
 「たとえば?」
 「エスニック系かな・・・タイとかインドネシアとか・・・」
 「なるほど・・・」
 「多分、20代の踊り子には出せない雰囲気とか出るんじゃないかな、しっとり和風って雰囲気じゃないのはわかるけど、オナニーショーで見せた恍惚の表情とかは30代ならではのものがあったと思う」
 「うん・・・いいヒント貰っちゃったな、考えてみるよ・・・」
 「一年後の朝霧冷が楽しみだな」
 「一年後ねぇ・・・やってるかなぁ」
 「寂しいことを言うんだな」
 「実際、今でもギリギリなのよね、まだ借金は少し残ってるから頑張らなくちゃいけないんだけど、ストリップを取り巻く状況も良くないしね」
 「風営法?」
 「そう、オナニーショーが出来なくなったら生命線絶たれちゃうもん、それをエスニック調のダンスでカバーしきれるかって言うと難しい気がする」
 「それは努力次第じゃない?」
 「努力はするつもりだけどさ、一年経つと一年分年取るのよね、今だって胸もお尻も緩んで来てるでしょう?カバーしきれるかどうか・・・」
 
 頑張れば大丈夫だよ、そんな言葉をかけたが、冷ヘのインタビューはストリップの厳しさを再認識させられた。
 ストリップにもスポーツ選手と同じような部分はある、若さは大きな武器、若さにある程度の経験が伴ってきてベストの時期を迎える、そこからゆっくり下って行くか転がるように下って行くかは当人の努力だけでは決まらないのだ。
 スピードを武器にしていたピッチャーはスピードが衰えれば通用しなくなる、その時に緻密なコントロールや鋭い変化球を身に付けていれば生き残れるが、そうでなければ引退や解雇が待っているだけ、そしてコントロールにせよ変化球にせよ、努力なしに身につくものではないが、努力すれば確実に身につくというものでもない・・・。
 そしてルール。
 もし野球でフォークボールは禁止、とされたら消えて行くしかない選手は沢山居るだろう、ストリップではそれが風営法だ。
 冷をピッチャーに例えるなら、社会人野球出身で遅いデビュー、それを補うために何度もフォームを変え、目先を変えて中継ぎとして何とか一軍に残ってきたようなもの、そして生命線はもうすぐ禁止されるフォークボール・・・。
 
 ストリップのファン層は暖かく踊り子を見守る懐の深さを持っていると思う。
 今日の冷のステージ、俺だけではなく観客の反応からして、リリーフに出てきたピッチャーが一点取られ、なおもランナーを出したが最後は決め球で切り抜けた・・・そんなものだったように思う。
そして冷から決め球のフォークボールであるオナニーショーが奪われたら・・・それでも生き残ろうとするにはよほどの努力が必要だし、その努力が報われれるとは限らないのが現実、みどりの様に40を大きく超えて未だにトップで居られるのは異例の存在なのだ。

 軽々しく『頑張れば大丈夫だよ』などと言ったことが少し後悔される。
 しかし、特別な資質を持たないまでもここまで頑張って来た冷のような踊り子を応援したい気持ちに偽りはないつもりなのだが・・・・。


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