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浦和ミュージックホール
【その他 官能小説】

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インタビュー ウィズ 里美-1

 「失礼かもしれないけど、元○○クラブ会員って謳い文句、邪魔に感じることはない?」
 劇場近くの居酒屋で俺は里美と向き合っている。
 元アイドルと言うこともあり「インタビューはしゃれたバーででも」と誘ったのだが、里美は居酒屋の方が好きだと言う、至って庶民的だが元アイドルの美貌は流石に目を惹く・・・一緒に居酒屋に入った時、若い店員がぼーっと見とれていたのが可笑しくも心地良かった。
 最初に俺はズバリと言ってみた、ストリッパーとしてのスキルとAV女優だった経験が生きている生唾物のまな板を目にした俺の率直な感想なのだ。
 「う〜ん、元○○クラブって言ってもその時代の私を覚えてくれてる人って少ないからちょっと面映い感じはあるわ、でも私にとっては大事な思い出なの、辛いことも多かったけど・・・それにあの謳い文句でお客さんもひきつけられるでしょう?なるべくたくさんの人に見てもらいたいの、劇場のためにもなるし・・・だからやっぱりまだあの謳い文句は外せないの、嘘じゃないし」
 「そうだよね」
 「でもね、私、一度もセンターに立てなかったし、ソロパートすらなかったのよ」
 それは確かにそうだった・・・。
 「個性に乏しかったのよね、後ろに並べて置くには良かったんでしょうけど前面に出れるほどの個性がちょっとね」
 それもわかる・・・正直なところ、当時人気を博したメンバーに比べて里美が美貌で劣るとは思えない、むしろ誰よりも整った顔立ちだと思う・・・しかし確かに印象に残り難いのだ、逆に「少し垂れ目」とか「唇がぽってりして肉感的」といった少し崩れた部分があれば良かったのかもしれないが・・・プロポーションを取ってみても同じ、里美は中背でスリムだが出るべきところは出て締まるべきところは締まっている、完璧と言って良いほどのプロポーションを持っているのだが、背が高いとか低いとか、胸が大きいとか小さいとかの特徴的な部分はない。
 「キャラクターもね」
 里美が付け加える。
 確かにキャラクターについても同じだ、やたら元気、とか、小悪魔的な雰囲気がある、と言うような部分はない、お嬢様的、優等生的な大人しい感じ、それが里美のキャラクターと言えば言えるのだが、アピール度は低い・・・万人に好かれるタイプだが突出したキャラクターではない。
 「私もそれに気づいてたから少し無理にはしゃいで見せたりもしたんだけど、板についてないのはVTRをみれば自分でもわかったわ、それでも幸せだったの、芸能界は夢だったから、それに私に対してじゃないとわかっていてもコンサートとかで熱狂的に迎えられるのは凄い快感だったの・・・それにメンバーとはみんな仲良しだったわ、ライバルとみなされてなかったのかもね」
 強烈な個性を持った人気者がセンター争いを繰り広げる中で、里美の存在は潤滑油的なものだったのかもしれない。
 「○○クラブに入るきっかけはなんだったの?」
 「小さい頃からピアノと日舞を習ってたの、やらされてたって感じじゃなくて好きだったわ、特に発表会の雰囲気は大好きで、発表会で拍手を貰いたいから一生懸命練習してたの、目立たないくせに目立ちたがりなのよ」
 発表会レベルでは「目立たない」とも思えないのだが・・・。
 「○○クラブはテレビ番組から生まれたグループでしょう?あの番組には勝手にオーディション受けて出ちゃったのよ、芸能界に憧れてたから・・・出てみたら発表会どころじゃない華やかな雰囲気に舞い上がっちゃった・・・司会してるのはテレビでよく見るタレントさんだし、スタッフはたくさんいるし、照明はまばゆいほどだし、スタジオはお客さんで埋まってるし・・・それでやっぱりテレビでよく見る仕掛け人がプロデュースするアイドルグループに誘われたら・・・もう他の事は見えなかったな、エスカレーター式の私立高だったから大学へもそのまま上がれたんだけどもうそんな事はどうでも良くなってた・・・」
 「ご両親はなんて?」
 「大反対だったわ、家の両親って二人とも教師なの、芸能界なんていかがわしいってくらいに固かったの、私にピアノと日舞を習わせてミッション系のちょっとは知られた私立学校に入れて・・・大体両親の思い通りになってたのね、あまり意識はしてなかったけど・・・それがいきなり大学には行かない、芸能界に入る、でしょう?カンカンだったわ、でももう私は決めてたの・・・○○クラブは絶対に成功すると思ってたわ、スポットライトと歓声を浴び続けたかった・・・毎日忙しかったけどそのとおりになって幸せだったわ」
 「そんなに好きだった芸能界を辞めるきっかけって・・・?」
 「最初から薄々気づいてたのよね、スポットライトは私に当たってるんじゃない、歓声は私にかけてくれてるんじゃないって事は・・・でも最初のうちはメンバーも少なかったし、真ん中じゃなくてもスポットは浴びてたわ、でも新メンバーがどんどん入ってくるでしょう?その度に私は端っこへ・・・スポットは全体をなめる時でないと当らないし、歓声の中に自分の名前を聞くこともなくなってきて・・・それでもしがみついてたんだけど、最初の頃のメンバーが一人、また一人と欠けて行ったでしょう?一期生は二人だけになっちゃってたの、何度もセンターに立ってた娘と私だけ、その娘から『ソロになろうと思うんだけど』って相談された時に、もう私の居場所はないなって思ったの」
 「で、里美もソロになった」
 「一応ね・・・一期生はみんな一応はソロデビューさせてもらえたの、ネームバリューはあったから・・・貰った曲は奇麗なバラードでね、気に入ってたけど『多分だめだな』って思ったわ、インパクトに欠けてたから・・・ピアノ習ってたから楽譜どおりに正確に歌うことはできたけど情感たっぷりに歌うとかはできなかったし・・・思ったとおり売れなかったわ・・・そんな時にAVから声がかかったの」


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