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衛星和誌 −Qカップ姉妹−
【SF 官能小説】

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ナディーカ語り(4)-1

 より正確に言えば、わたしは“身分の高い者は胸が小さくてよい”というムードを作り出し、定着させたいのだ。“豊乳はたしかに財産であるが、従者のそれは、高貴な貧乳の所有物である”――そういう、大袈裟に言えば思想を作り、木星圏中に広めたいのだ。
(わたし――いえ、このナディーカ・クセルクセスを頂点とした、新しい美と階級の基準を打ち立てる‥‥)
 進行中のコンジャンクションは、そのための布石でもあるのだ。わたしはそれに挑み、新たに三人の乳奴隷を手に入れる。ジェニーに語った通り、あとのふたりもなかなかの上物だ。
(あの、ドリーとかミドリとかいう娘は、勝気な分、痛めつけ甲斐がありそうだし‥‥。――けど、それよりも‥‥。あの、ジャニス・プラスケットとかいうメイド――)
 そしてわたしは、ジェニーに言わなかった――言えなかった企みに、心を躍らせた。
(まあ、メイドとしては平凡なようだし――わたしにはリリィもいることだし、メイドとしては、いいわ)
 わたしが興味深いのは、彼女のメイド技術よりも、その肢体と、そして血縁だ。わたしはもうすぐ、二組の姉妹を手に入れることになるのだ。
(姉妹のカラダをつな――えええ?)
 ――そこで、急にジェニーの顔がアップになった。
 見ないようにしようとはしていたが、やはり、ちらちら視線をやってしまっていたようだ。わたしたち一般の感性では理解しづらい芸術なのか、それとも特異な幾何学模様なのか‥‥カイメー様式の特徴的な壁を背に、彼女ジェニーがいぶかしげにわたしの顔を見ていた。
 危ない危ない。わたしが思い描いていることのひとつであり、すでに、道具も準備中のことでもある。それは、事実だ。でも、いまはまだ明かす時期ではない。
 わたしは、なんでもないわとジェニーに微笑んで、リリアに報告のつづきを促した。

 リリィ――リリア・ミアヘレナと初めて出会ったときのことはよく覚えている。ちょうど、このレアンドラを新たな首都みやこと定めた、あの輝かしい革新の時期だった。彼女はフカリスの名門メイド学校から、このスガーニー王室に推薦されて来たのだった。強力な機関である官房室が提示する“一〇〇センチ以上、Lカップ以上”という乳房の条件は、彼女は難なくクリアしていた。
 わたしよりいくらか年上なだけだというのに、大人びた、知的な雰囲気、涼しげな美貌、そして、当時すでに他を圧していたその巨乳ぶりを間近に見て、わたしは、
(この娘が欲しい!)
と強烈に思ったものだった。彼女のバストサイズは、現在ではわたしより一五センチは上回っている。身長がわたしより一二センチほど高いとはいえ、やはり凄いおっぱいだ。細身で、バストのいわゆるアンダーサイズは、わたしより二・五センチしか上回っていないのに――‥‥。と、とにかく、スガーニーの――いえ、このナディーカの誇る、完璧なPカップだ。
 ジェニーは、バストのトップサイズだけならば、わたしより実に二〇センチも上回っている。リリィのそれよりも、数値的には上回っている。実は。
 ただ、彼女はわたしやリリィよりずっと大柄なうえに軍人らしい体つきで、アンダーバストもその分あるため、カップは、Lにとどまっているのだが‥‥。
 そしてまた、けしからん、いえ、不思議なことに、本人はあまり関心がないようなのだ。あの引き締まった体躯は、リリィとはまた異なる趣きがあると、わたしは常々思っている‥‥。
 と、とにかく、身分の高い者、高貴な者は、おっぱいが小さくていいという思想を、わたしは木星圏せかい中に広めたいと思っているのだ。そのためのコンジャンクションでもある。オイオ側が古のコンジャンクションによる決着を言い出してきたとき、わたしは、内心小躍りした。
 勝負そのものへの興味も、もちろんあった。が、わたしの真の狙いは、歴史時代の資料に記されていた、敗北した女は勝者の財産となり、奴隷、あるいはペットとして飼われる、という内容だった。
 オイオの爆乳女たち、特にあのルリア・ミアヘレナを手に入れること。そして、わたしが飼い馴らし、思う存分に嬲り、調教し、貧乳ナディーカ所有のPカップの乳奴隷として、全世界に公開すること。それは、思想啓蒙の第一歩となるだろう。今回の勝負コンジャンクションは、そのためなのだ。
(Pカップ、としたけれど‥‥)
 それはエントリーデータの数値。オイオ側から通知されてきた、プレーヤーとしての基本情報にすぎない。いや、おそらく本当の数値だろう。しかし、ナディーカ・クセルクセスの物にするためには、いずれ、きっちりと測りなおす必要があるだろう‥‥。乳奴隷といっても、本当の奴隷制度が廃止され法で禁じられている以上、それは便宜上のこととなり、実際は捕虜兼リリィと同じ王室の使用人、となる。だが、王室の財産となる以上、データはしっかり取得しなければならない。
(身体測定の模様を、公開――放映するのもいいかもしれないわね。コンジャンクションで培われた放送網で‥‥。すぐによりも、録画して後に流すのがいいかな‥‥)、
 わたしは、公開の身体測定で、恥辱に震えながら涙を流すあのルリアの姿を想像して、ほくそ笑んだ。そしてまた、もう一方向の嬉しい想像にも心を躍らせた。
 Pカップとしたのは、オイオ側が測った、その時点での数値でもある、ということだ。すでに爆乳・魔乳として知られていたリリィのおっぱいが調教でなおも発育を見せたように、あのルリア・ミアヘレナのおっぱいも、愛でようによっては、さらに発育するかもしれないのだ‥‥。


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