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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 1.-25

 有紗のショーツをはみ、鼻先を擦りつけ、舌でしゃぶり回しつつ忙しなく言って、片手で根元を握ると再び腰を落として亀頭を口の中へ強引に埋めてくる。見るに耐えない光景、鼻を塞ぎたいニオイ、吐き出したい味。それら全てに抗えぬままに、埋めた場所を至近に覗き込まれて張形を抽送され、接面から溢れる蜜を啜られて……、ここで有紗は襲ってくる淫欲の波に流されてしまおうと観念した。気の済むまで嬲られて意識を失ってしまおう。耐えようとするから長く苦しめられるのだ。気を失っている間に時間は過ぎる。そうすればすぐに月曜がやってくる。他の男に抱かれて、この男を憐れんでやる日だ。




 コーヒーショップで待っていた有紗に明彦から電話が入った。
「ごめんっ、実は仕事がもうちょっとかかりそうなんだ。……あと、一時間くらい……、待てる?」
「そうですか……」
 有紗は腕時計を見た。「待てない、って言ったらどうしますか?」
「待っててくれって、頼みこむ」
 明彦の言葉を聞いて微笑んでいる顔がカウンターの前のガラスに映っていた。
「お仕事忙しいんでしたら、無理しなくてもいいですよ?」
「無理してない。……もし無理しなきゃ終わんないんなら、無理する」
「必死すぎません?」
「そりゃ必死だよ。会いたいもん」
 ヤリたいの間違いじゃないんですか? そう軽口を叩こうとして、いくら明彦でも引くかもしれないと思ったからやめた。
「……わかりました、待ってます」
「本当にごめん。なるべく早く終わらせるから。ナンパされても断ってね」
「十人目で追いていくことにします」
「やっべぇ、六分に一人声かけられるの? さすが前原さん」
 明彦は笑って、「めちゃ急ぐよ。じゃ」
 有紗は電話を切ってバッグに仕舞い、あと一時間どうしようかと迷った。丸の内の方へ出て路面店や丸ビルへ行っても、ここからの移動も含めての一時間では大して見て回れない。ほぼ飲んでしまっているミルクティー一杯でこれから一時間粘るというのも気が引けるし、何となく待ち合わせをすっぽかされてる女に見えそうで悲しい――いや、意識しすぎか。
 さっき、ヤリたい、と明彦をからかおうとしたが、きっとそれは自分のことだ。渋った様子を見せた有紗だったが、明彦が「二時間待って」と言っても了承したかもしれなかった。今日のために土曜の粘りつくような、あの悍ましい一日を過ごしたのだ。明彦の家で、彼の手が体に触れてきたら、叔父に「今から他の男と、する」と伝えてやったら……奴はどうなるだろう。愛美のことを考えればとてもそんなことはできないが、そう夢想するだけでも心が和んだ。
 さて、それにしてもセックスを待っている女は、それまでどうやって時間を潰すものなんだろう?
 ――そうだ、と有紗はもう一度スマホを取り出した。東京駅近くなら大きな本屋があるはずだ。今日見る映画の原作を探しに行こう。有紗は検索サイトで近くに二十一時までの大型書店を見つけた。しかし何と言う題名だったか忘れていた。含まれる単語は憶えていたが、正確には諳んじられなかった。明彦が口にした作者名も思い出せない。
 あそうだ、金田一だ。検索サイトに打ち込み、有紗も知っていたマンガを避け、同姓の有名人に行き当たって違うと戻った末に、横溝正史という四文字を見て明彦が言った作者名のうろ憶えと一致した。その名前でフリー百科事典を引く。八つ墓村、犬神家……、へぇ、何か聞いたことある、と感心しつつ、ページ内に作品リストを見つけ、例のオジサンさんに教えてもらった映画のタイトルにやっと行き着いた。
 改めて見るとホラーっぽい、おどろおどろしいタイトルだ。張られたリンクをタップして作品を解説する記事を表示すると、基本情報のISBNという欄に「文庫本」という記載を見つけた。この数字の羅列を抑えておけば本屋で見つけられるのかな、と念の為画面のスナップショットを取っておいた。
 じゃあさっそく行こうと、スマホをバッグに入れ、カップを手に席を立とうとした時、カウンター席の隣に誰かが座った。万が一、二連続で愛美に見つからぬように、八重洲の外れの街路にある小さなコーヒーショップを待ち合わせに選んでいた上に、もう帰宅時間帯であるから店内の客はまばらだった。つまりかなり席が空いている。ならば、カウンターの隅に居た自分の隣に敢えて座ってくるなんて――。
「もう帰るの?」
 男の声が聞こえてきた。やっぱりナンパか。八重洲のこんな小通沿いのコーヒーショップでナンパしてくるなんて馬鹿な男だ。そう無視して立ち上がろうとした。
「――有紗さん」
 動きが止まった。隣を見た。
 白いVネックシャツにブルーのニットジャケットを羽織った優男が座っていた。微笑んでいる。だが朗らかとは言えない笑みだ。ぎこちない、どことなくバツの悪そうな、しかし有紗を引きとめようとする請願に満ちた顔を向けている。有紗はスプーンを受け皿に鳴らしてカップを置くと椅子に座り直した。何と言って立ち去っていいのかわからない。何を話して座り続ければいいかもわからない。早く打つ鼓動は甘痛かったが、同時に血の気が引く寒々しさも感じる。


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