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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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強い気持ち・強い愛-6

「あれ、さっき何か言いかけてなかった?」


沙織を傷つけてしまったことを全部謝らない限り前に進めないって考えていた俺は、そう訊ねるけど。


「あー……、いいや、何でもない」


バツが悪そうに視線を逸らされるとなおさら気になって仕方ない。


「何だよ、言ってくれよ。言いたいこと溜められるとかえって不安になるんだ」


「んー……」


それでも沙織は渋っていたけど、やがて観念したのか、


「倫平、修と喧嘩してたでしょ? それあたしに見られてたから余計に話しかけられたくないかなって思って」


言われて甦る、あの見苦しい姿に、俺の顔はボッと熱くなった。


修に痛いところを突かれ、怒りで飛びかかるまではよかったが、力の差は歴然であっという間にねじ伏せられ。


悔しくてボロボロ泣いては、沙織への未練やコンプレックス、挙げ句には“ヤりたい”とまで叫んでいたあの醜態を全て見られていたことを思い出し、身体から変な汗が噴き出してきた。


そうだ、俺あんなドン引きする姿を沙織に晒して……!


冷静になった今だからこそ、さっきの醜態が余計に恥ずかしくて、いたたまれなくなった俺はあぐらをかいていた脚の間に、頭を抱え込んで妙なうなり声をあげた。


「うわあ、俺もう死にたい!!」


好きな娘にこれ以上ないくらいの恥ずかしい姿を見られたことで、錯乱した俺は髪を掻きむしっては唸る。


つーか、あんな姿を見せた時点で嫌われたも同然じゃねえか!


あの時俺に馬乗りになっていた修ですら、あんなヒいていたんだ。


沙織だって絶対ヒいてるに決まって……!


「倫平!」


発作を起こしたみたいに取り乱す俺を、沙織が一喝する。


反射的に動きが止まる俺は、訓練された犬さながらだな、なんてふと思った。


「倫平……」


次に呼ぶ声はぐっと優しかったので、怯みつつも顔をそっと上げれば、愛しの沙織の顔が目の前にあった。


やけに真顔の彼女は、掻きむしる手を頭から剥がすようにそっと両手で包むと、そのままギュッと握りしめた。




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