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蒼虫変幻
【SM 官能小説】

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蒼虫変幻-3

七年前のある夏の日の夕方だった…。

急に降り出した大雨を避けるため、ぼくはあの塔に迷い込んだことがあった。建物の裏手に
茂った林の中に佇む塔の中は、外とは違う生あたたかい湿り気を含んだ空気が漂い、剥き出し
の高い天井には幾筋もの蜘蛛の巣が張りめぐらされていた。

そして、あの部屋は、塔の内壁に添った重厚な螺旋階段を登りつめたところにあった…。

錆びた鉄の扉を開けると、高窓から差してくる灰色の光が澱んだその部屋は、不気味な洞窟の
ような奥深さをもっていた。奇妙なことはその部屋の褪せた石壁には十字に交差する黒い磔木
が壁に打ちこまれていた。磔木には錆びた鉄線が埋め込まれ、先端には鎖で括られた鉄枷が
付けられてあり、それは幼いぼくにも刑具として想像できるものだった。

いつか祖父が語っていたことをふと思い出す。牢獄から塔に連れて行かれ、拷問される女囚た
ちは、裏山に生える奇怪な形をした樹木から刻み取られた樹液を飲まされる。麻薬のような
樹液は拷問の苦痛を増していく効力があり、繰り返される拷問によって心身が倒錯的に麻痺し、
やがては従順な狂人となってしまうということだった。

そして、磔の刑具に縛められた女囚たちは、火で真っ赤に焼かれた金鏝で性器に焼印される。
さらに建物に落ちる雷の閃光電流が磔木に埋め込まれた鉄線に流れることによって、磔にされ
た女たちは恐ろしい雷の電流で拷問にかけられということだったが、ぼくは当時、祖父が語っ
ていたことがよく理解できなかった。


突然、烈しい雷が塔の外で鳴り響いた。ぼくは恐怖で身を縮め床に蹲る。鉄格子の嵌った高窓
から稲光が部屋を極彩色に毒々しく染め、息苦しく澱んだ空気がねっとりと漂ってくる。
そしてあの磔木には、手首と足首に鉄枷が嵌められ、磔にされた全裸の女が突然その姿を露わ
にしたのだった。それは、ぼくが初めて見た女性の裸体だった。

たおやかな隆起を湛えた白い乳房と薄紅色の花蕾のような乳首…。艶やかな光沢を放つ白い肌
がくびれた腰を包み込み、しなやかな下半身の隅々までが眩しく輝いていた。そして、むっち
りとした太腿の付け根には、羽を広げた黒い蝶のような繊毛がしっとりと濡れ、陰部の肉唇か
らは蜜汁が滲み出していた。

ぼくはじっとその女の白い鱗粉をまぶしたような女の裸体に囚われたように身動きができなく
なっていた。そして稲光を放つ雷の音が少しずつ大きくなってくると、石の部屋には、まるで
獣に犯されているような女の苦痛に満ちた生々しい嗚咽が不気味に響きわたっていた。


そのとき、突然、女の体から陽炎のように湧いた黒い影があった。それは黒いマントを頭から
すっぽりと被った亡霊だった。女の前でゆらゆらと蠢く亡霊は、手にした小瓶から指で掬った
葡萄酒色の樹液を女の鼻先に突きつけ、開いた女の唇の中にゆっくりとその樹液を含ませた。

その樹液が、祖父が語っていたものであることにぼくはすぐに気がついた。女の胸奥にねっと
りとした液体が沈鬱な澱みをともなってじわじわと流れる様が、女の白い咽喉の微かな蠢きか
ら察することができた。その粘液は女の臓腑の肉襞をすべて蕩けさせ、肉の苦痛を烈しく増幅
させるものなのだ。女はこの亡霊によって残酷な刑罰を受け、美しい肉体を引き裂かれていく。

そう思ったとき、ぼくの幼虫は烈しくざわめき、喘ぐように漲ってきた。身悶えする女の手首
と手足に嵌められた鉄枷がギシギシと重く軋む。のたうつ白い乳房、くねる腹部の翳り…そし
て、逆立つ陰毛とともに喘ぐ秘肉の割れ目。憂鬱で仄暗い薄灯りの中で、女はまるで殉教者の
ような拷問を受けようとしていた。



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