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「運命の人」
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運命の人〜白雪王子〜-1

「えぇーーーっ!?」

あるものを見て、私は大声を上げてしまった。すぐに口を塞いで、眠っている犯人を恐る恐る見るとどうやら気付かれていなかったようだった。
私が見ていたのは、彼の机に置かれていた学年を通した成績表。名前の蘭には「阿左美塔也」と書かれてある。
私が驚いたのはここからで、彼の各教科の評定が一つを除いて皆5だった。その上、担任からのメッセージも素晴らしいとまで書かれて、いっきに彼との段差を見せ付けられたようだった。
美形なとこに更に成績優秀だなんて、それなら私はどれほどツイているのだろうか。いい方向にとれば、そんな彼は日頃の気持ちを抑え切れずに私をさらって行ってしまったということになる。つまりそれ程までに好かれているのなら、私にしてみればこの拉致事件だって悪いとばかり言えなくなる。
そんな彼が、どうしてこうまでするのか。未だに理解出来ないけど、心の底からドキドキが込み上がる。
好奇心に負けた私は、そっと冷蔵庫を開けて中を見た。あまり調理出来そうにない材料ばかりで、食生活が気になってしまう。
そっと冷蔵庫を閉めて、ドアの外を見た。トイレや風呂場など、全体的に見てからワンルームマンションだと悟った。
誰か一緒に住んでいるのだろうか。いや、そしたらこんなことにはならなかったはず。きっと一人で暮らしているのだろうと思うと、変に意識しては顔を赤らめた。
二人きりということは、私はどうなってしまうのだろう…。

「何してるんですか。」
「ひゃっ!」

塔也君だと思われる声がいきなり聞こえ、驚いてしまった。勝手に部屋の中を見られたことに対して怒ってしまっただろうかと、一方ではそんな不安もあった。
私は、彼のいる場所へ歩きながら言葉を探す。

「あの、その…。どんな家だか気になっちゃって、塔也君が起きるまで…見学させてもらおうかなぁって。」
「どうして待つんですか?」

意外に冷静な対応で、半分驚きと自分だけ混乱していることへの虚しさが溢れてくる。
だけども、この問い掛けをするであろうことは予想していた。

「私、好きだって言われたの初めてなの。」

ちょっともじもじしてしまう自分に、かなりの恥ずかしさを覚える。それでも、説明の方に意識が行ってしまう。

「だから余計にこう思うのかもしれないけど、本当にそう言ってくれる人を悪い人呼ばわりのままにするのは絶対に良くない。塔也君が可哀相…。」

私が言っている途中、私の目に予想を裏切ったような事態が起こっていた。彼がトンと、私の肩へもたれかかっていた。その途端、波のように私に羞恥が襲ってきたのが、いきなりそれは緊急事態なのだと察知した。。
妙に息が荒く、もたれかかってるにもかかわらずふらふらとバランス悪かった。
彼を剥がして顔色をうかがうと、異常に上気していて尋常でない苦しさに襲われていた。大変だと思い、塔也君をベットに連れて行って寝かせた。
何とか体温計を見つけて使うと、彼の耳元でピピピと音がなった。結果、39.8℃という残酷な数値が表示されていた。



歪む、世界は終幕を迎えるのか。いや、単に俺がおかしいだけでその発想自体ありない。
ピントを合わせることが出来ずに、今度はぐらぐらする頭に問い掛けた、一体何事なのだと。思い出したところ、俺は夏木先輩に倒れ込んで意識が薄れていったのだった。
俺はどれだけ眠っていたのだろうか。相当経っているようだが、その割には回復がちっとも良くない。
トイレを借りていたのか、そちらから水の流れる音が聞こえた。夏木先輩がまだいることがこれで確認される。
部屋に入る彼女は、目を開いている俺に気付くと体調を尋ねる。その時の俺は何故か黙って、口がびくともしない。


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