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大佐の舘
【ロリ 官能小説】

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大佐の舘-28

 大佐の埋葬先が判るとまた彼の信奉者達が聖地としたり、大佐により国を滅ぼされた民の怒りがまたそこに集まるのを恐れたようだ。

 ボクらは二人で必死にかつて[帝都]と呼ばれた街で豆腐を売り歩いた。暫くの後、みつさんを尋ね善蔵に連絡して貰い、ボクは戸籍を取った。
 終戦から七年経ち、ボクはしおりさんと結婚した。そしてついに綺麗な清水が出る場所を善蔵に探して貰い、「木下豆腐店」を開いた。木下とはかつてしおりさんの東北の家の苗字だったらしい。

 「豆腐〜、豆腐〜、豆腐は要らんかね〜?味噌も有りますよ〜。」

 ボクはいつもの様に自転車に豆腐と味噌を積み街中を売り歩く。この前少し遠出して、かつて大佐の舘があった、小杉谷へ行ってみた。大佐の舘は跡形もなく壊され塀も潰されて更地になっていた。

「岩佐大佐、色々ありがとう...。」

 大佐と最期の別れ際、一声言ってあげたかった。大佐あなたは私から両親を引き離し、舘で変な事もさせられたけど、私を逃がしてくれた。今こうしてあなたのおかげで生きている。しかも大好きなしおりさんと出会え彼女と結婚する事もできた。
 ポケットに忍ばせてあった腕時計を出して眺めてみた。分厚く綺麗で裏蓋が透明な硝子蓋の腕時計。美しい機械仕掛けが見える。大佐が別れ際にボクにくれた彼愛用のPANERAIの軍用時計だ。
 精巧で美しい歯車が絡み合い、彼の時計は今も静かに時を刻んでいる。

(完)
[大佐の舘]
2015年
Hera-p @







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