投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

愛しているから
【青春 恋愛小説】

愛しているからの最初へ 愛しているから 75 愛しているから 77 愛しているからの最後へ

勇気ある撤退-6




   ◇   ◇   ◇



酒の力はやっぱりすごいと思う。


重い空気を打破してくれた沙織の一気飲みを皮切りに、みんなも恐る恐るアルコールに手を伸ばし始め、気付けばあっという間にいつもの和やかな空気に戻っていた。


ずっとだんまりを決め込んでいた修も、石澤さんが話しかけていくうちに、いくらか笑顔もチラホラ見え始めて、ようやく楽しいバーベキューが再開されていた。


……俺を除いて。


結局、沙織の突然の飲みっぷりに呆気に取られた俺は、部屋に引っ込むタイミングを逃してしまった。


かと言って、緊張感が解けつつあるバーベキューに加わることも出来ずに、相変わらず隅で小さくなるだけ。


卑屈になっているのはよくないってわかってるけど、州作さんが用意した酒を飲みたくないのは、男としてのプライドだ。


一方、アルコールの力で沙織は、本当にさっきまで泣きじゃくっていたのが嘘のように、ハイテンションになって州作さんと楽しげに話をしていた。


今まで俺に向けてくれた笑顔を州作さんに向けているの光景は、まるで恋人同士のようで、その光景に胸が張り裂けそうになる。


沙織の笑顔は、憑き物が取れたみたいに晴れ晴れしていて。


それが、俺から心が離れたからだと思うと、目を逸らすしかできなかった。


当然……、だろうな。


沙織の隣でニコニコ笑っていた彼氏が、実はいつも不安やコンプレックスを抱え、しかもヤりたいヤりたいとそればかり考えていたと知って、キモいとすら思っているのかもしれない。


だから、俺に愛想を尽かせ、支えてくれた州作さんに心が傾いた。


きっとそれが全てなんだ。


尾羽打ち枯らされた俺は、生きていく気力すら奪われたような気がして、そっと席を離れた。


向かった先は、ログハウスの隅。


灯りが届かない場所は、今の俺にぴったりだ。


ふと上を見れば、満天の星空。


ああ、お星さまになりたい……。







愛しているからの最初へ 愛しているから 75 愛しているから 77 愛しているからの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前