投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

飛べない鳥の飛ばし方
【ファンタジー 官能小説】

飛べない鳥の飛ばし方の最初へ 飛べない鳥の飛ばし方 2 飛べない鳥の飛ばし方 4 飛べない鳥の飛ばし方の最後へ

始まりの泉-2


「ぶっ」

 翼が顔面に直撃した不審人物はわたわたと両手を振り回す。

「きゃあきゃあきゃあ」

 不審人物の振り回した手が翼を掴み、女の子は益々パニクった。

「わっ馬鹿っ落ち着っ」

「きゃわわわわ」

 バサバサと羽ばたく翼、飛び散る羽毛、叫び続ける少女、暴れる不審人物……はっきり言って、関わりたくない。

 そこへ……

どばしゃーん

 絡まっている2人の頭上から大量の水が降ってきた。

「ぶっ」

「きゃうっ」

 2人は水の勢いに負けて地面にへたり込む。
 不審人物も女の子も何が起こったのかわからず、ずぶ濡れで目をパチパチさせていた。

「ハイハイ。他の方々にご迷惑だからあまり騒がないで下さいね?」

 茫然としていた2人は同時に声の方に顔を向ける。
 そこには背の高い、不審人物より5つ位年上の青年が笑顔で立っていた。
 笑顔の青年の両耳の後ろには魚のヒレが生えている。
 彼は水が豊富な青の地域に住む『青の民』だ。

 土地の殆どが水に沈んでいる青の地域の『青の民』は水中に住んでいる。
 肺呼吸、エラ呼吸、皮膚呼吸が可能で水中を自在に泳ぎ回る事が出来る魚の様な下半身を持つ。
 地上だと不便なので2本の足にも変化出来るという、正に水陸両用の民なのだ。

「で?騒ぎの原因は何ですか?」

 青年はちょこんとしゃがんで小首を傾げる。
 クセのある白い髪がフワリと揺れて、人懐っこい緑色の瞳がにっこりと細められた。

「あっ!そうだよっこの女、俺にこんなもん投げつけてきたんだぜ!?」

 不審人物は頭を擦りながら反対の手を差し出す。
 手の平には綺麗に磨かれたコインが乗っていた。

「おやおや」

「あっ!私のコイン!」

 青年は成る程、と頷き女の子はショックを受けて項垂れる。

「やっぱお前のか?!」

 女の子は目に涙を溜めてコクンと頷いた。

「なんでこんなモン投げんだよ!!危ねぇだろっ!」

 不審人物はムキーっと怒って女の子に詰め寄る。

「え?」

「おやおや」

 不審人物の言葉を聞いた女の子は呆気にとられた顔をし、青年はクスクス笑った。
 プンプン怒っているのに妙な反応をする2人に、不審人物はムッとする。



飛べない鳥の飛ばし方の最初へ 飛べない鳥の飛ばし方 2 飛べない鳥の飛ばし方 4 飛べない鳥の飛ばし方の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前