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倒木のうつつ
【その他 官能小説】

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倒木のうつつ-3

 そうこうしているうちに年も押し詰まり、浅草寺の歳の市が開かれる雑踏の中におゆきさんがいた時のことです。人混みに揉まれる中でバッタリ与可郎と出会いました。「ああ、これぞ観音様のお導き」と喜んだおゆきさん。与可郎の手をしっかと握ります。大層な人出でしたが、そこは「縫う」のが得意なお針師匠。与可郎を引っ張り、人の流れを縫うようにして雑踏から抜け出ました。

「い、痛えな。手を離せやい」

与可郎に言われ、いったん手の力を弛めたおゆきさんでしたが、路地に与可郎を引き込み、ツイッと身を寄せました。そして相手の目をじっと見つめて言います。

「前からあんたと、じっくり話をしたかったんだよ。いっしょに、どこぞの茶屋にでもどうだい?」

茶屋という言葉を耳にして、与可郎の脳裏にご隠居さんの言いつけたことが浮かびました。そして、言ってみます。

「あ、あたいは……そーぞくで……うつるわけにはまいりません」

「え?」

「あたいは、そーぼくで……、あれ?」

「そーぼく?」

「あたいは、とーぼくで……」

「倒木。……あの時は本当に助かったよ。あんな太くて大きな木の下敷きになったなら怪我どころじゃすまなかった。改めて礼を言おうと思ってたんだ。さあ、四の五の言ってないで、あたしに付き合っておくれ」

おゆきさん、どんどん与可郎を引っ張って歩きだします。

 どんどんどんどん歩いて四半刻(約30分)。ちょうど寛永寺の鐘が夕七ツ(午後4時頃)を告げた時、二人は上野の不忍池にたどり着きました。ここは出合茶屋の多くある所。
 普通は男が女を引っ張り込むのですが、おゆきさんの場合は立場が逆でした。与可郎はわけが分からず、気がつくと薄暗い小部屋にいて、美貌の後家さんと膝を突き合わせていました。部屋の隅には蒲団が敷かれており、小さな火鉢があり、炭火が熾って仄かに暖かでした。しこたま歩いて汗を含んだおゆきさんの着物から何やら甘酸っぱい匂いが仄かに漂ってきます。知恵の回らぬ与可郎でも、その匂いを嗅ぎ、麗しい容(かんばせ)を間近に見てはムズムズしてまいります。さらに、

「先だって、与可郎さんの立派なモノを目にしてから、あたしゃ身体が疼いてしょうがなかったんだよ」

膝に手を置かれ、熱っぽく言われると気分がムラムラしてまいります。そして、身体を預けられ、柔らかい胸が腕に当たると股間に血液が集中してまいります。

「ねえさん、何だか、あたい妙だよ」

与可郎が自分の股ぐらに目を落とします。

「妙に突っ張ってきちゃった」

その言葉に、おゆきさんが膝に置いた手をずらしてみると硬いものに触れました。衣越しですが、まごうことなき勃起した男根でした。

「ふんどしの中で突っ張ったままだと苦しいでしょう、与可郎さん」

「うん。そうだね」

「取っ払ってしまいましょう、ふんどし」

「うん。そうだね」

「じゃあ、立ってちょうだい」

布を扱うことに慣れたお針師匠の手で、ふんどしが、あっという間に外されます。与可郎の勃起した男根が露わになります。その見事な肉竿に、

「! …………」

おゆきさん、言葉を呑みます。萎れている時は四寸だったものが、今は七寸(約21p)ほどまでに変貌しているのです。その大業物(おおわざもの)が臍(へそ)を叩かんばかりに反り返っているのです。

「ああ……」

おゆきさんの両手が思わず伸び、怒張をそっと挟みます。彼女の顔が近づき、肉茎に頬ずりしてしまいます。頬に人肌の温もり、いや、温もり以上の熱さを感じ、おゆきさんの目が早くもわずかに潤みます。そうして、身体の内側から込み上げる淫気に突き動かされ、彼女は怒張に舌を這わせてしまいます。真紅の舌は男根の腹をねぶり、陰嚢との境目を舐め、そうして一気に上がって肉竿の先端まで達します。しばらくチロチロと舌先が亀頭冠を刺激しておりましたが、

「んふ……」

大口開けて亀頭を丸呑みするおゆきさん。口の中で雁高具合を楽しみます。グッと張った肉の傘が舌に楽しくて、これが女陰に入ったならさぞかし……と彼女は早くも期待に胸が高鳴ります。
 いっぽう、美人に魔羅を吸われている与可郎はといいますと、片手で尻をボリボリ掻きながらぼんやりしています。魔羅吸いに慣れている後家さんの口技を受けたなら、たいがいの男は目を細めて低く唸るところでしょう。早漏気味の野郎なら早くもドピュッと発射してしまうところです。

 ところが、知覚神経の働きが著しく鈍い与可郎は顔色ひとつ変えません。おゆきさんの舌は確かに刺激を与えてはいるものの、その快感は今、与可郎の魔羅を伝って臍の裏側を通り、まだ背骨の途中あたり……。脳に達するまではまだ少し掛かりそうでした。
 そうとは知らないおゆきさん。しばらく口にて大魔羅を楽しんでおりましたが、そろそろ下の口でも楽しみたいと思いました。唾液の糸を引きながら唇を離して立ち上がりますと、着物、襦袢をするするっと脱ぎ、腰巻もはらりと落としました。三十路女の脂が乗った裸体が仄暗い部屋で明るく浮かびます。阿呆の与可郎でも、この生き弁天とも言える見事な女体を目にしますと、春機が勃然と湧いてまいります。天をつく魔羅にさらに芯が通り、目に意馬心猿の色がありありと……。それを悟ったおゆきさん、蒲団に横たわりますと、股をぱっくりと開き、ついでに両腕も開いて与可郎を誘います。

「さ、いらっしゃい。……楽しみましょう。たんとね……」


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