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悠久の恋の果てに
【ファンタジー 官能小説】

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「何もかも、思い出した?みさを」

優しい声でそう聞かれ、ハッとして大久保さんの顔を見れば
困ったように笑っていた。

「お、おくぼさんはご存じだったんですか?」

いったい何を?核心部分をお互いにぼかしたまま話しは続けられる。

「俺が思い出したのは小学生の時。阪神大震災の映像をテレビで見たときに
全てを想い出した」
「え・・・」
「美緒が前の記憶で1番最後にあるのは?」
「あの・・・凄い瓦礫で。若旦那様が・・・下敷きになって」

思い出しただけで涙があふれてきた。

「泣かないで。全て前世の事だ。それが大正大震災。
関東大震災と言ったほうが分かるかな」

あ・・・ぁ。
あれは関東大震災の、惨劇か・・・

「俺の前世での記憶は、その最中。みをの無事を願う気持ちが最後だ」
「あたしは無事でした。そしてお屋敷のがれきの中から
若旦那様を見つけ出して。生きていらっしゃるうちに出来なかった
―――接吻をしました」

私のその言葉を聞いて大久保さんは悲しそうに笑った。

「そうか。辛い思いをさせたな。すまない」

いいえ。いいえ。
私は何回も無言で首を振る。



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