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避暑地の拷問室
【OL/お姉さん 官能小説】

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憧れのひととの再会-1

90年代初頭、初夏の軽井沢。かつて旧伯爵家の末裔が別邸として使用していた洋館は、小さな湖の畔でその瀟洒な佇まいを水面に移している。もうじき夕暮れが迫る避暑地の館では、そのフロアでささやかな宴が催されていた。日本経済団体会頭、曽根蔵洋三はその恰幅の良い、紳士然とした風体を揺らし、十数人の来賓に語り掛けていた。いずれも、選民思想を色濃く醸し出す、日本のごく限られた富裕層の者たちだ。

その中にやや場違いな、それでいて気品溢れるうら若き女性が遠慮がちに、部屋の片隅に佇んでいる。肩まで伸びた黒髪に、見る者を吸い込むような美しさを放つ大きな瞳が印象的だ。端正な顔立ちは、聡明さを隠せず、控えめかつ芯の強さを表す凛々しさも兼ね備えていた。彼女の名は小暮小夜子。四菱商事社長、小暮信一の令嬢で、東日本女子大の一年生。まだ18歳の若さだが、毛並みの良さが醸し出す品位は年齢以上の貫録さえも感じさせるいでたちだった。まるで高原のお嬢さんを思わせるシンプルな純白のワンピースドレス姿だったが、どんな派手な女性招待客よりも人目を引いた。

そんな彼女に憧憬と思慕の念を込めた視線を送る一人の少年がいる。まだ幼さの残るあどけない表情の中にも、思春期を間際に控えた子供から脱皮を図る、そんな表情が見て取れた。彼の名は橋本淳之助。四菱商事第三営業部課長、橋本敬之助の息子で12歳の小学六年生だ。一社員の子弟でしかない淳之助はこの場にはやや不釣り合いな立場である。父が社長肝いりのプロジェクトにかかわるという、それだけの理由でこの場に家族とともに招待された淳之助だが、小夜子とは面識があった。それは一年前の四菱商事の社内家族旅行で飛行機の座席を隣り合わせただけだったが、北海道までのさして長くないフライトは淳之助に女性の美しさと、初恋の胸苦しさを刻み込むのに十分すぎる時間だった。初めての搭乗で不安な11歳の少年をまるで保母か、実の姉以上に甲斐甲斐しく気遣い、家庭教師の様に、また先輩の様にもふるまったセーラー服姿の小夜子は淳之助にとって聖母となった。以来、何かにつけては父の会社の話題に耳をそばだてたが、小夜子に関する話を耳にする事は無かったが、名門の女子大に入学したという事だけは知っていた。異性に惹かれ始めた少年にとって「女子大生」という響きは、憧れの女性が自分よりもはるか先をゆく、大人の女に変貌を遂げることを意味していた。あの心優しく美しいセーラー服のお姉様が、さらに美しく光り輝く存在になって自分の前に現れる。今回の旅行に参加したのも、そのことが目当てだった。そしてそれは現実のものとなりつつある。

(小夜子さん…僕のこと覚えていてくれているだろうか?)
両親から距離をとった淳之助はおずおずとした様子で、凛として佇む憧れの令嬢の視界に入りそうな位置に立ってオレンジジュースのグラスを握りしめた。
「フフフ、坊や? どうだねパーティは楽しいかね?」
曽根蔵は気さくに淳之助の頭を撫でる。生意気盛りに差し掛かった少年にとっては鬱陶しい行為だったが、それよりも経済界の大御所として知られる人物の左手がほとんど動かず、また体全体もやや硬直し、歩く際にもビッコを引いていることの方に興味がそそられた。
「はい、とっても楽しいです」
本心と乖離した言葉を父の教え通り口にした淳之助に歩み寄る、優しげな人影。

「淳之助君…? 淳之助君よね!? わぁ、久し振りねぇ」
ややオクターブの高い声を発したその美女は、懐かしさと、まるで弟の成長を喜ぶ姉の様な表情を交互に見せながら、淳之助の顏を見つめ嘆声をあげた。夢にまで見た憧れの女性を目の当たりにした恋する少年は、再会を果たした小暮小夜子の想像以上の神々しさに言葉を失った。口籠る淳之助を包み込むような笑顔で見つめると、小夜子は相手の肩に優しく手を置き一年前よりも男に近づきつつある彼の姿を眩しげに見つめる。
「こんなに背が伸びて…去年は私よりもずっと低かったのにもうすぐ越されそう…」
赤面し俯く淳之助。彼女と再会できた暁にはいろいろな話をしたいと思っていた少年は、想いと現実は必ずしも一致しない複雑な感情を知ることとなる。だが、小夜子はそんな少年の心を見透かしたかのように、優しくフォローする。
「どう? お勉強頑張ってる? 来年から中学生ですものね 苦手な算数は克服できたかな、うん?」
ややユーモラスな口調で問い質すお姉様。昨年は支笏湖のほとりにあるホテルに宿泊した時、宿題の家庭教師をしてくれたことを思い出して、再び赤面する淳之助。自分の事を覚えていた上に、自分の中だけに宝物のようにしまっていた記憶まで共有できた喜びで有頂天となる淳之助だ。そんな2人の様子にどこか満足げに見つめる、下卑た笑みを浮かべる曽根蔵がいた。

翌日からの2日間。淳之助は文字通り夢見心地だった。馬にまたがる彼女は英国の貴婦人のように気高く、教会で神に祈りをささげる小夜子は聖母のように慈愛に満ちた優しさを持っていた。大人たちの会合にあって未成年同士の2人は何かと行動を共にしたわけだが、淳之助の思い描いた通り、再会した小夜子は以前よりもはるかに大人びて、またお姉様らしい愛らしさで淳之助の世話を焼き、リードしてくれた。
「あ、淳之助君、お口についてるわよ」
白いハンカチをハンドバックから取り出した小夜子は、アイスクリームの付いた彼の頬を優しく拭う。子供心と、背伸びして憧れの女性に接しようとするはざまで揺れる淳之助は照れるしかない。
「午後からはテニスをやってみない? お姉さん、結構うまいんだから」
飛び切りチャーミングな微笑みと、さりげないウインクに虜になった淳之助は、テニスコートでウエアの裾から見え隠れするアンダースコートの色香に股間を熱くするのだった。



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