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磯崎恵利子 16歳の受容 platinum girl
【レイプ 官能小説】

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不易流行-1

 門限の時間を大きく過ぎてしまっている事に不安はあったが、それよりも心を重くしている事を確かめずにはいられなかった。

「あのっ、わたしの……」
そこで恵利子の口元は動きを止めた。
私の事好きですか?
私の事どう思っていますか?
そう聞けたらどんなに楽であろうと思った。

「あのっ、私の事責任取ってくれるんですよね」
代わりに出たのは、ひどく生々しく追及めいた言葉であった。

「なっ、名前を教えて下さい! こんな事までしておいて、名前も知らないなんておかしいです」
自分で言っておきながら、馬鹿な事を言っていると思った。

「確かにそうですね」
男は悪びれもせず、胸元の内ポケットより運転免許証を差し出した。

「せんしょうりゅうこう?」
恵利子は子供のような表情でその名を口にし、受けた印象は口にする事無く胸に留めておいた。

「変わった名前だと思うでしょうが、偽名でも無いですし免許証は本物です」
千章は恵利子の胸の内を見透かすと、その後こう続けるのである。

「磯崎さん、“不易流行”と言う言葉をご存知ですか? 解釈には諸説あるようですが、《いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと》と言う意味らしいです。私の両親だった人たちが以前教えてくれました」

(不易流行?)
両親だった人たちと言う部分も気になったが、恵利子の胸を締め付けたのは不易と言う名の少年との偶然と思えぬ整合性にあった。

(不易くん……)
数ヶ月にわたる同級生少年との想い出が、本来の“磯崎恵利子”の脳裏を駆け巡る。


 恵利子は数ヶ月前に、想いを巡らせていた。
不易一文(ふえきかずふみ)、それが少年の名前だった。

初めての出逢いは忘れもしない、7月25日。
夏休みに入って間もないその日の夕方、偶然H駅構内で“同級生少年”と出逢う。
この時の恵利子は本人とも、内に宿るもうひとりの自分とも言えぬ、ひどく曖昧な状況の中にあった。

“セックス” ほんの二ヵ月ほど前なら、口にする事すら憚られた言葉。
恵利子は強姦魔の要求に屈し、数時間にわたる辱めを受け終えた直後であった。

(消えて…… 消えて無くなってしまいたい)
異なる意思に支配されたとはいえ、要求を受容れてしまった恵利子。
曖昧な状況から目覚めた恵利子は、下腹部に残る感覚とあどけない口元に刻まれた感触に苛まれていた。

その屈辱と羞恥から、解放されてなお心は暗闇を彷徨う。
覚束ない足取り改札を抜けホームに立つと、吸い込まれるよう線路下に倒れ落ちていく。

 それを目にした少年は、とっさに駆け寄り抱き着く様に止める。

「嫌ぁっ!」
どすっ
一瞬の間合いをおいて、異なる感触に恵利子の意識は呼び戻される。

目前には助けたはずの相手に突き飛ばされ、尻餅をつく少年の姿があった。
ホームに人影は少なく、おかしな騒ぎにならなかったのは不幸中の幸いと言えた。

気まずい沈黙の後、恵利子は落ち着きを取り戻し、精一杯の気力を振り絞り謝罪と礼を述べる。
しかしそれを終えると、その場に力なく座り込んでしまう。
その姿勢から下着が丸見えとなるが、それにすら気が回らないほど恵利子は憔悴し……

いやっ、恵利子は少年の視線に気付いていた。
絡み付く視線は、太腿つけ根を包み隠すアーガイル柄の布地を捕えている。
そしてその意識は布地を越え、自身へと向けられる欲望である事も。

 再び内に宿る“もうひとりの恵利子”が囁きはじめる。

(ほらっ、この男の子だってあの男と同じ。心配するふりしても、視ているのは…… “ひと”はみんな欲しい物に目がいくものなの。あんただって本当は解ってるんでしょ? 街で、駅で、学校で、あんたの身体に絡み付く視線に)
その視線は恵利子の想いと裏腹に、再び花芯にくぐもった熱を送り込んでくる。

 そこはほんの数時間前まで自身を犯した欲望が、煮え滾る様な想いで摩擦を貪り続けた場所。
引き千切られそうなまでに押し拡げられ、捻じ込まれ抜き挿しが繰り返される度、恵利子の心と身体に悲しみと絶望が刻み込まれていく。

(この男の子だって…… あんたとマンコがしたいのよ。心配そうな顔してるけど、きっとズボンの中でキンタマぶっとく膨らませて涎垂らしてるに決まってるんだから)
初対面の少年に対しても“内なる恵利子”の毒舌に容赦は無い。

(やだっ! 止めて!)
自身に圧し掛かる欲望と凌辱、そして“内なる恵利子”の言葉に、本当の恵利子の心は壊れそうであった。

「ほんと、大丈夫? 磯崎さん」
何故かその言葉に張りつめた緊張が解け、恵利子の心は救われた様な感覚に導かれる。
同時に感情が溢れ出て、大粒の涙が恵利子の頬をこぼれ落ちひたすら泣き続けた。

「あなた…… どうして…… わたしのことを知っているの?」
暫くして恵利子は根幹的疑問を口にしていた。
それは本来の理知的な少女が、自身を完全に取り戻した瞬間とも言えた。

「まいったなぁ、もう三ヵ月も経つと言うのに…… 僕は不易一文(ふえきかずふみ)、正真正銘君のクラスメイトのひとりさ。せめて顔と名字くらいは覚えて欲しいな、磯崎恵利子さん!」
それはひどく説明的な言葉であったが、雰囲気を和ませる少年の気遣いに、恵利子は少なからず好感を抱いた。
この時の少年の瞳は先程までの邪な想いは感じられず、愚直なまで真っ直ぐに好意を込めた想いに満ちていた。

「ごっ、ごめんなさい、私……」
それでもまだ感情に思考が追いつかなかった。


 この日をきっかけに磯崎恵利子は、“クラスメイト不易一文”と少なからず交流を持ち始める事になる。

それは新たなる欲望と凌辱の始まりであると、この時の恵利子には到底考える事は出来なかった。


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