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good communication
【若奥さん 官能小説】

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デート、開始-1

この季節は、午前中とはいえ、日差しがじわじわ強くて、行き交う人の中には日傘をさして歩く姿がポツリポツリあった。


瑠璃が生まれてから、買い物と言ったら郊外の大型ショッピングモールばかりで、街中に出てくるのはすごく久しぶり。


独身の頃はよく訪れていたこの街に来たのは、いつ以来だったかな。


見知らぬビルが建っていたり、よく利用していたショップも海外のファストファッションのお店に変わっていたり、都会ってヤツは少し見ない間に目まぐるしく様変わりしている。


まるで浦島太郎になった私は、待ち合わせ場所であるS駅西口前にある、リボンがこんがらがったような不思議な形をした銀色のモニュメントに向かった。


待ち合わせの10時には、5分ほどの遅刻をしてしまって、自然と向かう足も小走りになる。


近眼気味の目を凝らして見れば、すでにモニュメントのそばでスマホを弄りながら立っている輝くんの姿を見つけることができた。


「パパ!」


ついついいつもの呼び方で呼んでしまったことにアチャーと思いつつも駆け寄っていく。


私の声に反応した彼は、顔を上げてキョロキョロしているうちに視線がぶつかった。


華麗に変身した『らしい』私に気付いた彼は、驚きで瞳をみるみる内に開いている。


そして私は愛しの彼の元へ駆けて――。


「はっ、はっ、はっ……」


遅刻してしまう、と駅のホームからずっと走ってきたのが祟って、ガクガク震える両膝を掴みながら、ゼーハーゼーハーと犬みたいに息を弾ませていた。


「お、おい、大丈夫か?」


頭上から聞こえてくる輝くんの心配そうな声。


もっとロマンチックに現れるはずだった私の登場シーンは、駅のホームからのダッシュと、




――あのオカマブラザーズの精魂吸い取られるような変身術及び特訓に、初っぱなから体力を奪われてしまったのである。




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