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レイジーマン
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レイジーマン-2

―と、いうことはこいつがあたしのメル友!?うわぁ…こんなやつとメールしてたのか―
嫌悪感が込み上げてきた。ちらちらとあたしの胸元ばかり見るその男に下心がないとは思えなかった。
「ね、そうなんだろ」
そう言うと男はあたしの手首をいきなり掴んだ。
しかも、強く引っ張ってきた。
「ホラ早く行くよ」

き、き、気持ち悪い!

男の手を振り払い、顔を思いきりしかめて言った。
「何言ってんの?人違いでしょ。あたしはこの人と待ち合わせしてたんだから」
浅尾先生の腕をぐいっと引っ張る。先生は状況を察してくれたようだった。
「そうだよ。あんた誰?こいつになんか用あんのか」
鋭く睨む。
すると男は顔から笑みを消し、チッと舌打ちして、こそこそ去った。
「なんだあいつ。気味わりぃな」
先生は不愉快そうに眉をしかめて男の去った方を見ていた。
あたしは先生の腕から手を離し、俯いた。
「すみません…あの男、本当はあたしが待ち合わせてた相手なんです」
「えっ?なんでだよ。あいつ『ユカちゃんですか』とか言ってたぜ?」
お前の名前は「亜澄(あずみ)」なんだから、明らかに人違いだろ―
先生はそう言いたいのだ。

「『由佳』はあたしがメル友だけに使ってる偽名なんです」
「うそっ、じゃあなんだ、あいつまじでお前のメル友なのか?」
「はい…今日会う約束してたんです。メールじゃいい人だったから、あんな気味悪いと思わなくて」
先生は面食らったようだ。
「おいおい、やめてくれよ。いかにも下心ありまくりってツラしてたぞ。お前、おれがいなかったらどっかに連れ込まれてたかも知れねーな」
ごもっとも、とあたしがうなだれていると、バッグから携帯の着信音がした。メールだ。
あたしは携帯を取り出し、差し出し人を確認してうんざりした。
先程のあの男からだった。
本文はこうだ。

>>今どこにいるの?俺もうついたよ。

あたしは無視して携帯を閉じた。あとで受信拒否しよう、と決めた。
先生はあたしの苦い表情を読み取った。
「もしかしてあの男からか?」
「はい…受信拒否しとくから、大丈夫です」
溜め息を一つつく。
相変わらずハトが何羽か地面をつつきながら歩いていた。
こうしてよくよく見ると、ハトの顔は一羽一羽違っていた。人間と同じく、美形な者もいれば不細工な者もいるのだろうかなどと意味のないことを考える。

「お前、自転車で来たのか?」
先生が唐突に訊いてきた。
「え…いえ、バスですけど」
「じゃあ、送ってやるよ」
「‥えっ」
あたしが怪訝な顔をすると、先生があたしを諭し始めた。
「多分あの男は『ユカちゃん』を探してまだこの辺をウロウロしてるだろ。今お前が一人でになったら、あいつがまた話しかけてくるかも知れない。ああいうやつはしつこいしな。だから、車でお前んちまで送ってやるよ。おれん家はすぐそこだし」
「え、でも…先生、何か用事があって駅に来たんじゃないんですか?」
「まぁ用っちゃあ用だけど、散歩がてらにタバコ買いに来ただけだ。ここの自販が家から一番近いから」
そう言うと、すぐそこにある自販機に歩み寄り、タバコを二箱買った。


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