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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈亡者達の誘う地〜最終章〉-3

『ひッ!?ひいぃッ!!』


専務がドアを開けて脱兎の如く逃げ出すと、背後の操舵室から数発の破裂音が聴こえてきた……もはや、この船を操れる者は居なくなった……。


『ち、ちくしょうッ!!何だってんだよぉ!!』


専務の頭は混乱していた。
何故に八代がこんな所まで来て、自分達を殺していくのか分からない。

艦橋のドアを開け後部甲板に走ると、そこにはライフラフトと呼ばれる救命筏があった。
それに乗ろうと思った瞬間、専務は絶望に包まれた。

ライフラフトに乗れば、この船からは離れられる。
しかし、何らかの動力が備えられている訳では無いし、ただプカプカと浮いているだけに過ぎない。
一応テントのような屋根は着いてはいるが、雨風は凌げても銃弾までは防げない。
つまり、海上に浮いた“的”として、蜂の巣にされる運命しか無いのだ。

滝のような汗が全身から流れる……それは、この強い日射しだけが理由ではない……。


『く…来るなぁ…ッ』


旋回しているヘリが、逃げ惑う専務に近付いてきた……甲板上に逃げ道は無く、戦って勝てるとも思えない……専務は血を流して転がっている部下達に躓きながら、再び艦橋のドアを開けて中に入ると、船底の一番奥にある“あの部屋”を目指して駆けて行った……。






『……往生際の悪いネズミだ……』


八代は船底へと続く血の足跡を見つけた。
長い通路の先の、行き止まりの部屋の中に、あの男が震えながら隠れている。

ゆっくりと梯子を降り、悠然と通路を歩く。
もう使命の達成は目前であるし、なにも焦る必要は無いのだから。



『し…死にたくない……死にたくない……』


八代の予想通り、専務はガタガタと身体を震わせて怯えていた。
最後の砦であるこの部屋に、絶対に侵入はさせないとドアノブを両手で握り締めていた。


『開けろぉ!苦しまずに殺してやるからよぉッ!!』

『!!!!』


扉の向こうから、八代の叫び声が聞こえた瞬間、専務は渾身の力でドアノブを握り直し、足を壁に突いて引っ張った。



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