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ひこうき雲
【SM 官能小説】

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(その3)-1

いつもの看護婦さんが、三本目の私のAV「実録 性奴隷鬼畜 その二」を買ってからふたた
び私の店を訪れたのは、金曜日の早朝で客がいないときだった。彼女は店内に客がいないこと
を確かめながら私に話し始める。

この前に買ったAVって、SMっていうのかしら変態のAVだったわね。こっそり患者さんに
借りて見せてもらったけど、私もちょっぴり感じてしまったのよ。私って、もしかしたらマゾ
っ気があるのかもしれないわね。

それにしても逆さに縛られてあそこを蝋燭責めされたり、それに鞭打ち浣腸シーンなんてすご
いわね。私だったらほんとうに気絶してしまいそうだわ。

でも、このAVに出ている「風間 澪」っていう女性。ほんとうにあなたによく似ているわ。
あら、ごめんなさいね、こんなことを言って。

それでね、その患者さんが突然言ったのよ。もしかしたら「風間 澪」はボクの初恋の女性か
もしれないなんて。どうしてって聞いたら、今度のAVだけは前のものと「風間 澪」という
女性の声が違うらしいの。彼女のほんとうの声みたいだって。それからしばらく彼って何とな
く元気がないのよ。そうよね、初恋の女性がオカマみたいな変な男に虐められる変態姿なんて
考えたくもないわよね。彼って目が見えないけど、ほんとうに見たらきっと幻滅するんじゃな
いかしら。幸か不幸か目が見えなかった方がよかったかもしれないわね。

私は彼女の話につい黙り込んでしまった。やっぱりあの三本目のAVを撮るときは違っていた。
演技ではなかった。クノキのことを想いながらも私は本気で自分を虐めたかったのだ。

そしてカオルくんはあのAVからほんとうの私を感じとったのかもしれない。そのことを聞い
たとき、なぜかカオルくんとの不思議なつながりを私は感じた。


それでね、私が聞いてみたところだと、彼は今でもその初恋の女性のことを好きらしいわ。
高校一年生のときに始めて出会ってから、これまで彼女のことをずっと思い続けてきたのよね。
一途な彼の話を聞くとほんとうに胸が痛くなるわね。

看護婦さんはそう言うと、レジの横に置いているいつものお饅頭を三つ買うと忙しそうに店を
出ていった。



次の日の夜、バイトを終えた私はカオルくんの病院へ行った。
面会時間ではなかったが、通用口の受付で看護婦さんの名前を言ったら特別に病室のある階の
ナースステーションに案内してくれた。夜の時間も遅かったもため、ナースステーションの部
屋にはあの看護婦さんではなく別の人がいた。

カオルくんのお友だちだからいいわよ。今夜はもう消灯の時間を過ぎて誰も来ないから、ゆっ
くりお話ししていってね、と言いながらその看護婦さんは、カルテをかかえてカオルくんの
病室の前に私を案内するとステーションへ戻って行った。




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