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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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I'M A LOSER-7

「“別れる”って言われたんなら受け入れるしかないよ」


背後から声が聞こえ、俺と沙織が振り返ると、案の定、州作さんの姿があった。


焼きそばが入っているであろう、白いレジ袋を両手に持ちながら。


その表情は、やっぱり飄々としていて、なんだか嫌な予感がした。


「沙織ちゃん」


膝から崩れ落ちて、砂浜に座り込んだ沙織の横に、州作さんも目線の高さを合わせるようにしゃがみ込んだ。


さりげなく頭を撫でるその仕草があまりに自然で、ホントの恋人同士に見えるほど。


州作さんは、勝ち誇ったような顔で、俺を見上げた。


「オレ、さっき楓にしっかり釘さされていたんだ。“中川さんは大山の彼女だからあまりちょっかいかけるな”ってね」


「歩仁内が……」


イタズラッぽく笑う、あの愛嬌のある顔が脳裏に過る。


「だから、もう沙織ちゃんにモーションかけるのは止めようって思ってたけど……、別れたんならもう遠慮はいらないね」


そんな歩仁内とは対照的に、ニッコリ微笑む州作さんの顔は、氷のように冷たい笑顔だった。


こめかみから冷たい汗がツーッと流れる。


……ヤバい。


「大山くん? オレ、マジになっていいよね?」


その笑顔を見て、自分の発した言葉が間違いだったことにようやく気付いた。


ちっぽけなプライドよりも、沙織に嫌われちゃうんじゃないかっていう不安よりも、一番怖いこと。


それは、愛する人が他の男に奪われちまうってことだったんだ。


俺は取り返しのつかないことをしてしまった。


今頃気付いた俺は、慌てて沙織にさっきの言葉は嘘だったと、伝えようとしたけれど、


「そういうわけだから、沙織ちゃん。オレと一緒に戻ろう」


と、州作さんが彼女の手を引いて立ち上がらせて、こちらに言葉を発する間も与えないまま、歩き出していた。


そして沙織は、一度も俺を見ることなく、トボトボと引きずるように浜辺を歩いていった。




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