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鎖に繋いだ錠前、それを外す鍵
【フェチ/マニア 官能小説】

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鎖に繋いだ錠前、それを外す鍵 2.-11

 友梨乃はカップを手に取り、一口啜って喉を熱で潤してから、
「だからか」
「え? なんですか?」
「藤井くん」友梨乃は陽太郎の方を見て少し顔を顰めて見せた。「少しは女の子に見えるけど……、不自然ではあるよ。ハッキリ言って、似合ってない」
「そうですか……。いろいろ調べたんですけど」
「調べた?」
 陽太郎は、余計なことを言ったかも、という様子で頬を指先で掻くと、
「『女装入門』みたいなの書いてる人のブログで」
 と恥ずかしそうに言った。
「その書いてる人の女装してる写真とか見たの?」
「見てません……」
「ダメじゃんっ」
 友梨乃は呆れた、しかし陽太郎の間抜けさを微笑ましく見る顔を向けた。
「……どこがおかしいですか?」
「立って」
 友梨乃が促すと、陽太郎はすっくと立ち上がる。友梨乃も立ち上がって、一歩引いた距離から陽太郎を観察した。
「……なんで、そのニットにしたの?」
「あ、……いや、男やと肩幅あるから……。ストレッチするほうがいいかなと思ったんです」
「女の子でも肩幅ある子いるよ。……こういう服だと余計に体がゴツゴツしてるの目立っちゃう。もっとゆったりした服のほうがいいと思う。……腰も女の子ほどくびれてるわけじゃないから、高めの位置のペプラムとかにして、腰の目線を上げさせたほうがいい」
「ペプラム?」
「……来て」
 陽太郎はまだ一口もコーヒーを飲んでいなかったが、手招きして自分の部屋に導いた。クローゼットを開けて衣類かけからペプラムチュニックを取り出すと陽太郎に見せた。
「こういうのだと、ウエスト細く見えるし、裾でお尻の大きさも隠れる」
「そうなんですか……」
「……ここまで気にしなきゃいけないなんて、女の子って大変でしょ?」
 言って友梨乃は少し考えたあと、「……着てみる?」
 と問うた。
「え、あ……、いいんですか」
「……ニット脱いで」
 陽太郎はニットを脱ぎとって、タンクトップ姿になった。全体的なフォルムは細身ではあるが、骨ぶしてはおらず適度なふくよかさがあった。友梨乃から受け取ったチュニックに頭から着ていく。襟元がワイドに開いているが、陽太郎の項は妙に艶めかしく、鎖骨のラインも優美だったからむしろよく映えた。友梨乃が着るときはバストを目立たなくするためのシフォンスタイルのチュニックは、陽太郎の上躯にふんわりと纏わり、開いた裾が男っぽい腰つきを隠した。
「着れちゃうんだ。ショック」
 友梨乃も肢体はしなやかなほうだったが、その友梨乃の衣装を難なく身に付けることができた陽太郎を笑み顔で睨んだ。陽太郎は洗濯の香りに混じって友梨乃の芳しい香りに包まれて陶然と紅潮させながら、友梨乃の非難にはにかみで応えた。
「でも、それだとスカートもおかしいよね。女の子だからってスカートじゃなきゃいけないわけじゃないでしよ? バンツでもいいじゃん」
「そ、そうですね……」
「スカートなんて初めて履いた?」
「はい……。スースーして、ドキドキします」
 友梨乃は笑ってまたクローゼットを向いた。背中で問う。
「ドキドキするなんて……、ちょっとアブナイ」
 からかったつもりだったが、間があった後、
「……あぶなくなる、ギリギリだと思います」
 と聞こえてきた。
「ギリギリ?」
 クロップドのデニムを取り出して振り返って更に問う。
「……」
 即答できない陽太郎を待たず、「スカートも脱いで。ストッキングも」
 少し躊躇した陽太郎だったが、両手を腰にかけるとスカートを足元に落とし、下肢がシアータイツだけの冴えない姿から一刻も早く逃れたいように、張り付いている薄布も取り去った。それでも、裾の開いたペプラム丈のチュニックにボクサーブリーフだけという姿は間の抜けた感じになるから、両手を前を隠すように垂らして立っていた。
「ストレッチのデニムだから、入る……、と思う」
 友梨乃から渡されたクロップドパンツを受け取るとおずおずと脚を通した。スキニー気味のフォルムだから脚に張り付いてくる。友梨乃の体に張り付いていた生地を同じように身に密着させる感覚に陽太郎は息が詰まるほど鼓動を高鳴らせてパンツを腰まで引き上げた。体にフィットする感覚はあるが、キツい苦しさは無かった。
「それも入っちゃうの? ……ヒドい」
 ペプラムチュニックとクロップドパンツ姿になった陽太郎は、首から下だけ見ると、胸元の寂しさはあるが、おそらく誰が見ても女に見える。友梨乃は腕を組んで観察するような目を向けた後、わざとらしくうんうんと頷いてから笑った。
「すごくよくなった」
「え、ええ……」
 陽太郎は体を見下ろして確認している。
「脚、キレイだね。女の子みたいな脚してる。何かスポーツしてたの?」
「いえ、特に何も……、運動は全然しないです」
「それ、女の子の前で言ったら殆どの子が怒るよ」友梨乃は陽太郎の足元にしゃがんで、「スネ毛も全然生えてない」
「もともと体毛薄いんです……。でも昨日、そ……、剃りました」
「あー……、最近は男の子用もあるからね」


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