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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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生きている理由-2

「見て!綺麗な青空…。」
「……。」
「いずみがねっ!オーディションを受けたの!でも落ちちゃったみたいなの、残念ね。」
「……。」

生気を失った僕に、しつこく話しかける母、あぁうっとおしい。

「絵の方はどう?最近描いて。」
「描く訳ないだろ!?もういいから出てってよっ!」
「絆……。」

僕の悲しみにも満ち溢れた怒号に、部屋を後にする母。

どうして僕は息をしてるんだ、どうして今心臓が動いているんだろう……。

不意に窓に目をやる、するとカーテンが気持ちよさそうに踊っている。

憑りつかれたような動きで、ベットから離れ床に足を着き、開いたその窓へ近づき。

……こんなふざけた世界、もう要らない。

僕は足を上げ、下を見上げる。ここは二階、飛び降りても死ねないだろう。でもそんなものは関係ない、そのまま道路に突っ込めば良いダケの事。

人生に絶望し、身を投げ出すのは初めてじゃない、皮肉にもその経験があってか不思議と恐怖心が芽生えない。

あの時は不運にも落下地点に大量の狩られた雑草があって、それがクッション替わりとなり一命を取り留めてしまった…。

飛び降りたらまず足を骨折して移動に不便が生じるであろう…でも!ひ弱な体に鞭打って
何としてでも道路に飛び出してやる!

今度は下に何も障害物は無い。今回こそ何にも邪魔される事なく、死ねる。

覚悟を決め、身を乗り出す…すると。

「駄目っ!やめてっ!」
「っ!?」

不安を感じた母が戻って来て、飛び降りようとする僕の体をガッシリと掴み。

「……離してっ!」
「絆、お願い!」

母はこう見えて身長が高く、僕より4cmはある。それに僕はひ弱で病弱だから振り払えない…、他だったら簡単に出来そうなのに。でもここで屈する訳には行かない、僕だって男だっ!何としてでも振り払って……。

「お願い……。」
「!」

不意に母の顔を目にする。それはいつも凛とした強気な表情ではなく、弱弱しい顔で、目には大量の涙が…。

僕は急に力が抜け、二人して床に叩きつけられ。

「お兄ちゃん、何してんの?」
「いずみ…。」

母と二人で見舞いに来た妹、顔を凍らせ荒れた兄を見つめる。

「飛び降りようと、したの?」
「だって……。」
「お兄ちゃんのバカッ!」
「!?」
「辛いからって何よ!一人だけ逃げる気?そんな事して私たちはどうなるのよっ!?」
「いずみ……。」
「死んだら許さないからっ!うっうううわぁぁぁっ!」
「……これ以上、お母さん達を苦しめないで頂戴…。」
「母さん、いずみ……うっうう。」

自殺しよう、と言う考えは断念しよう、大好きな家族を傷つけたくない…。でも、それ以上でもそれ以下でもない。


「ホント、御免なさい…。僕、どうかしてた。」
「全くだよ!あの時お母さんが戻って来なかったらどうなってたか。」
「……お母さん、ホントは一瞬躊躇ってた、あのまま好きにさせてあげよう…って。」
「母さん…。」
「死にたくなる気持ちも良く解る…、だからあのまま死んでラクにさせてあげたい、これ以上苦しんで欲しくないって。」
「何言ってるのよっ!」
「そうよね、普通に死んで欲しくないもの、だって、私の大切な宝物ですもの…。」
「……。」

扉の音がし、見上げると父が、あはっ家族全員で見舞いに来てるな。開いた窓、そして重たい表情をした僕らを見て、状況を察し。

「バカ者っ!お前、自分が何をしようとしたのか判ってんのかっ!」
「っ……。」

母親は恐いとも言うが、中年の怒号も十分ビクつく、火事雷親父とは良く言ったものだ。

「だって、僕は…もう。」
「何が、まだ確実に死ぬと決まった訳じゃないだろう、お前は確かに生まれつき体は弱い…、だが心はそんなのに苦っしない強い男だと父さんは信じてるんだぞっ!」
「父…さん。」

あっ、涙が……、ダメだな、僕は。

「泣くなっ!男だろっ!」

さっきから男男って、父さんは僕が小さい頃、ひ弱な息子を見かねて、日曜大工をやらせたり、柔道をやらせたりしてた…。

そんな思い出も、死んで消えてしまうのか……。

僕は、未だ暗い表情を布団に落としたままでいた。



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