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たそがれドライバー
【その他 官能小説】

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たそがれドライバー-6

「先生、そろそろ行かないと」
「現実に戻ってしまった?」
「そうね。でも気持ちよかったよ」
「それならよかった」
今までの時間が嘘のように夢のように感じた。二人は完全に元に戻り冷静になった。
「その小瓶ちょうだい」
「いいけど、どうするの?」
「オナニーするときにちょうどいいから」
峰はオナ二ーをするのか。見てみたいと里山は思った。

それでも岩城のメールで幸いしたのか、お互いに一線を越えることはなかった。里山にしても一回り下の女性でしかもきっと里山より稼いでいる女性との未来など考えるべきではなかった。峰は服を着た。
「助手席来る?」
「うん」
「ありがとう」
里山は礼を言うと峰は不思議そうに里山を見た。
「何が?」
「楽しかったよ」
「それなら私も久々に感じて感謝だわ。しばらくセックスもしてないし、仕事がハードで疲れてるとなかなかオナニーもできないの」
「そう」
里山はエンジンをかけた。検診車は渋谷に向かった。暫くは二人は無言だったが里山が沈黙を破った。
「今度また会えないか?」
里山はだめもとで峰を誘った。
「会うってホテル?」
里山は思わず吹き出した。
「まさか、いきなりホテルなんて。お茶でもどうかと聞いたんです」
「あ、お茶ならOKよ。食事もいいわ」
「私は初めてのデートでエッチなことなんか考えませんって、堅物で通ってますから」
「あら?でも今日は初めて会ってエッチなことをしたわね」
峰は笑ってる。
「あれはエッチではない。検診です」
里山も笑ってる。お互いに気持ちが通じているようだった。こんなに気持ちがホップしているのはいつ以来だろうと里山は思った。生きていればいいこともあるもんだ。道玄坂の上のほうで峰は降ろしてくれと言った。
「あのさ・・・」
里山は言いにくそうに言った。
「なあに?」
「実は私もバツイチで子供もいて」
「そんな気がした」
「どうして?」
「その写真」
里山は運転席に娘とツーショットの写真を置いている。
「多分離婚されて会えなくなった娘さんでしょ?」
「そうだけど。どうして分かるの?」
里山は驚きを隠せなかった。
「私もほら」
峰はポケットから娘とツーショットの写真を見せた。
「いつか4人で会える関係になれたらいいですね」
「そうだね」
峰は笑顔で車から降りた。
「じゃあ、また」
「じゃあ、また」
二人は手を振って別れた。渋谷の街は人で賑わっていた。その人ごみの中に峰が消えていった。里山にとってはラストラブかもしれなかった。大事にこの愛を育てたいと思った。街を行き交う人々の笑顔を見ても今日は寂しい気持ちにはならなかった。未来が開けたようだった。さて行きますか。里山はエンジンをかけた。すると運転席の窓ガラスを叩く男がいた。40ぐらいの人相の悪い男だった。里山は窓ガラスを降ろした。
「何か?」
「降りろ、話がある」
「ですから何のようですか?」
「降りろ」
里山はその男が刑事に見えた。付近で何か事件があってその聞き込みかと思ったのだ。仕方ないな、は何も知らないぞ。里山は車から降りた。その瞬間腹部に激しい痛みを感じた。うぇ〜吐きそうだ。立っていられない。何なんだ。腹がしびれてきてる。男は血のついた包丁を持っていた。


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