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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈狂宴・後編〉-13

『……どうしたのぉ、早く言いなさいよぉ?……どうせ自分は“捨ててる”んでしょ?』


捨て身となる事を決めていた姉の決意を、タムルは見抜いていた。
だが、それをタムルは姉が決意した捨て身とは真逆の方向に捩じ曲げ、掌の上で踊らせる方向へと導いた……鍛え抜かれた肉体を発揮すべき時は疾うに過ぎ、せめて妹の名誉だけでも取り戻そうと握られていた拳は、やはり収める意外になかった……。


「……は…春奈…様……ぐぐッ…わ、私は……幸せ…で…す……」

「……!!!」


償いきれない事をしたと、慙愧の念に押し潰されている春奈にとっても、今の景子の立場は、我が身を引き裂かれるに等しい激痛を伴わせるもの……あの日、麻里子と同じ凛とした気品さを漂わせていた景子が、あのモニターの中の狂った麻里子と同じようになってしまうかもしれないと思うと、春奈の意識はバラバラに砕けそうになり、平衡感覚が狂ってしまう程に視界は歪んだ。


『春奈様のお姉さんは牝豚だったの。貴女は下等な牝なんだから、牝豚よりも下の生き物なの……違うかしら?』


春奈に対して景子に謝らせた事と、あの麻里子とを絡める事で、タムルからの言葉の暴力は春奈をも責める事となっていた。
喜多川姉妹に対する春奈の狼狽は、ただ単に良心の呵責だけの痛みではなく、景子へのシンパシーが多分に含まれているのだと、タムルは気付いていたのだ。


『サロトさん、春奈ちゃんが眠ってるわよぉ?ちゃんと起こしてさぁ、景子先輩の〈本性〉を見せてやらないと駄目よぉ』

『まだまだ子供じゃから“お寝む”が近いんじゃろうのう……ほれ、起きろ!甘えるのは後じゃ!』

「ぶッ…はぶッ!?む…がッ?ふがあぁ!!」


容赦の無い平手が春奈の頬を打ち、意識は無理矢理に引き戻される。
その虐待のような目覚ましに、春奈は赤子のような泣き顔を作り、もうこの狂宴を止めて欲しいと縋りつく眼差しを、サロトへと向けた。


(もう許してよ……お願い許して……)


今までに捕らえられた銭森姉妹の中でも、ここまで情けない姿を曝した者はいなかった。
いや、ここまで精神的に虐められた姉妹はいなかった。と、言った方が正しいだろう。


サロトはタムルが羨ましかった。


日本語を話せず、しかも頭の回転も悪く口下手なサロトは、タムルのように言葉を操り、精神的に屈伏させていく術を持たない。
あの麻里子を牝豚になるまでに堕落させ、架純を家畜として飼い慣らすまでに至った手腕に憧れていたのだ。

凌辱して悲鳴をあげさせたい欲望を持ちながら、それと同時に甘えられたいという願望をも、サロトは抱いていた……精神が崩壊して幼児に退行し、自我を失ってしまった美津紀や夏帆を溺愛するのには、そんな理由があったのだ。



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