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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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逢いたい!-2

私の好きな、本当に好きな人が実は生きていた?

彼は死んだんダゾ、大体何でアンタがそんな事を知っている?そして何故そんな話をあの
状況で私に告げる?冗談……にしても悪質過ぎる、彼の部屋で攻められ、それをひっぱたきながらフッた腹いせにせよ。

私は、苛立ちきって毒蛇のような殺気立った心持ちでおり。

「どうしたの?怖い顔してぇー。」
「いや……。」

いつものアイス店、周囲で楽しそうな笑い声を発する女性達で賑わう。

アイスを両手にした菫が目の前に腰を下ろし、同時に私を気遣う言葉を口にする。

あれから東堂クンとは口を利いていない、彼の周囲では、私と東堂クンとの交際関係についてあれこれ噂をしているようだが。

正直、彼が恐い。自分の優柔不断で彼の想いを踏みにじってしまったのだから、私は彼を
好きになれなくても、彼は私を本気で愛していたんだ。仕返しされても仕方がない。

彼との関係も心にクイが残るが、やっぱり私は彼が電話で言った事が引っ掛かり。

絆が生きてる?そんな筈は無い。だって彼は病死したんだ、何度も語るがあの病院で、死刑執行を待つ囚人のように。

あの日彼の後輩に押され、彼が寝てるであろう病室へひたすら地面を蹴り向かった。が、
そこに目的の人物は居ず部屋は空っぽになっていて。

だから彼は死んだんだ、もう会わないと決めたのに結局会い、そしてその期待が見事に裏切られ、自分自身への情けなさにも似た怒りがこみ上げてきて。

それ以来吹っ切れたように、彼を忘れ笑って過ごして来た。

それなのに、生きてる、何てふざけた事を…。

私はそんな言葉俄かに信じる気なんてなかった。だけど菫や彼の後輩加藤君のもどかしそうな顔、彼の生存をほのめかす、電話越しに耳にする彼の真っ直ぐな口調。たまたま出くわした彼の妹いずみちゃんの悲しそうな顔。大体空の病室を目にしただけで死んだと決めつけるのも今となっては強引、彼の葬式を目にした訳ではない。

不意に絆の居ない長谷川一家が帰宅する様子を目にした。それは他愛もない会話を口にし
笑い声を発し。…家族が一人天国へ旅立ったというのに何故っ!?

私は一瞬そんな彼らに悪魔のような嫌疑を立てるも、彼の両親を問い詰めた時、如何にどうしようもなく悔やんでいた表情を思い浮かべ、そんな疑いも直ぐに晴れ。冷静に考えれば家族が死んで平気で笑っていられる筈がない。そりゃーいつまでも悲しんでられない、という可能性もあるが、幾ら私と彼ら一家とは複雑な関係があったとはいえ、彼が亡くなって全く連絡一つしない筈も考えられず。

だったらやっぱり彼は生きてるんだ。

東堂クンの言った事が冗談ではない事に気づき、体が震える程喜び、ダガそれと同時に大きな疑問にぶち当たる。

彼が生きてるならどうして連絡一つしてこない?、ベットが空だったのも死んだのでないのなら転院したと考えるのが普通、あの日看護師サンに訪ねた時だって、あまりのショックに話を途中までしか聞いてなかったし。

それでも転院した事を黙ってる彼、ゆっくり時間を掛け気付いた、いずみちゃんも加藤君も本当の事を知っている、それをあえて私にだけ口を閉じたんだ、菫だってもしかしたら

「ねぇ、菫。」
「ん?何。」
「その、絆の事なんだけど……。」
「!!」

彼のワードを口にした途端、驚いて目を丸くする菫、ビンゴやな。

ならば彼に会いたい!その為にも早速本当の事を…。

「あ、あのさ……。」
「杏?」
「……な、何でもないっ!御免ね!」
「………。」

心にブレーキが掛かる。本当に、本当にそれで良いのか?

絆も菫達も、理由もなく私にこんな大事な事を話さない訳がない。

きっと私の事を思って、今ここで菫たちから本当の事を聞き出し、彼に会いに行ったりしたら…。

私の勝手な感情で、皆が今まで私の為に築きあげてきた物を一気に崩してしまうような。

絆が、皆を巻き込んで自分を死んだ事にした偽装工作。ここまで解ってくると絆が私に
「もう会わない方がお互いの為だ。」と口で語らずとも理解が出来る。

ダガ、その理由が何なのか判らない、ただ会おうとすると彼は苦しむだろう。

だから私は彼には会わない、会いたいけどそれで苦しむのなら、それで……。


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