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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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杏を頼む-4

「そう、じゃ私ちょっとグラウンドに行ってるね!」
「うん、行ってらっしゃい……。」

顔を沈ませ、私とあまり言葉を交わさない菫、今朝から元気が無い一体どうしんだ?

それに時よりあの空席に何度も視線を向けて。


相も変わらずグラウンド中に雄叫びを挙げるサッカー少年や、野球少年達。

その隅の人気の無い場所に、ひっそりと彼はいた。

「おっ!やってますなぁー♪」
「おぉ、来てくれたんだ。」

物置小屋の外壁に背を任し、地面に尻を付き、手にはあまり店などで見ないちよっぴり古風なギターが。

私は東堂君に「聴かせたい曲があるから良かったら昼休みに」と誘われこの場所に足を運んだ次第で…。

「当然でしょ?君のギター生演奏何て早々鑑賞出来るものでは御座いませんし。」
「ハハ♪それじゃーこの素敵な観客様にギタリスト東堂真雄、弾きます!」
「♪……。」

スポーツ少年達の雄叫びと言う雑音も小音量に、耳に響く彼の快適な歌声と指で弦を弾く音…。

心地良い、私達の周りが花畑に思えてきた。


それから僅か十分程し弦を弾く指を止める。

「すっごーい!ブラボーブラボーヒューー♪」
「そっか?そりゃどーも。」

あぁ今でも彼の曲が頭から離れない、印象深いとはこういう事なのだろうか。私は顔をパァとさせ手の平をぶつけ合い、彼の音楽を評価する。

「そうだよ!このままいけばデビューも出来るんじゃね?」
「いやー大袈裟だよ、そりゃー慣れたら良いかもだけど、まだまだ。」
「大丈夫ダヨッ♪東堂君なら出来る!だってこんなに楽しそうに奏でるんだもの!」
「織原…サン。」

頬を林檎のように赤く染め、太陽のような笑顔で励ます私の顔をボーと見つめる彼。

「それにしても随分古いギターだね、あっゴメン別にボロいとか言ってる訳じゃ。」

少々痛んでる彼のギターに目をやり、丁寧に謝罪する、つい前まではここまで彼に慎重に何てならなかった筈だが。

「いや良いんだホントの事だし。」
「東堂…君。」

それから首をゆっくりギターに向けて、眉を細め、口を開く。

「これ、父さんの形見なんだ…。」
「えっ?」

彼の家は、母と小学五年生の妹にその一つ下の弟の四人家族。父親は彼が小学一年に上がった頃に突然の交通事故で亡くなったそうで。

生前親子で父の音楽部屋で、ギターに興味を抱いた息子に、手本を見せたり子供用の小型ギターを彼のヘソクリから購入し、共に演奏をする事もしばしば。

今彼が演奏したギターは、いつか一端のギタリストになった時に譲ろうとした物で…。今はまだ一端には程遠く、このギターを手にしてるのが疑問だが、父との突然な死別に物心
ついた頃から肌に離さず持ち歩いていて。

そんな大好きな父との想い出の詰まったギター。まるで我が子を愛するように優しく撫でる彼…。

「あっ、あのさ!お、織原…サン。」
「なっ、何?」

突然改まったような口調で目を合わし。

「俺、やっぱり君の事……あっいや、何でも…ないっ。」
「東堂君っ!?」

何を思ったか突然走り去る彼、一体どうしたんだ?

私は彼を追う事無く、ただその背中を見つめ。

東堂…君。

何だろう、このもどかしい感情は。

これは恋などでは無いっ!前にも言ったが。

だから言ってるだろう、私は…私にはあの子が……。



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