Ｔデパート-8
「川瀬くん、よう見いや。女にしょうもない幻想を抱いたらあかんで。これがメスの本性っちゅうもんや」
高橋は麻理の脚を大きく広げさせて、そのだらしない股間を俺に見せつけるようにしながら指を激しく出し入れした。
「あっ……あああん……！」
「あんたもこっちへ来（き）ぃ。麻理は相手が一人やと、よう満足せえへんねや」
「はぁっ……あん……ああああん……！」
麻理が更に甘えた声を出しながら俺のほうを見た。
その表情は、まるで「早く来て」と誘っているように見える。
「麻理……」
「ほれ、はよう来い」
高橋が急かすように俺を促す。
言いようのない嫌悪感と不快感。しかしそれ以上に抗いがたい奇妙な力に導かれるように、俺はふらふらと立ちあがって、横たわる麻理のそばへひざまずいた。
目の前にいる麻理と高橋が全てグロテスクな一つの肉の塊に見えた。
「あっ……ああああっ……」
麻理は身体を小刻みに揺らしながら快感を貪っている。
だらしなく開いた唇からやかましいくらいの喘ぎ声がもれている。
「やあっ……あああっ……はああんっ！ああん！」
俺はいきなり何かにとりつかれたように夢中でベルトを緩めると、いつのまにかいきり立っていた己のモノを麻理の口にねじ込んだ。
「ん……ぐうっ……」
条件反射のように、麻理が俺のぺニスに舌を這わせはじめる。
「そうや川瀬くん。女はみんな同じや。いたぶって、可愛がって、さんざんオモチャにしたったらええねや！」
高橋が満足そうに高笑いする。
麻理の生温かい舌が俺の肉棒にねっとりとまとわりついて、びりびりとした快感が下半身をしびれさせていく。
いやだ……いやだ……やめてくれ……。
心の奥底で何者かが叫び声をあげている。
俺はそれを振り切るように麻理の喉奥に俺のペニスを強く打ち付けた。
「うぐうっ……ぐううっ……」
麻理が一瞬苦しそうに顔を歪めた。
「……麻理っ……」
俺はうわごとのように麻理の名前を呼び、狂ったように腰を振り続けた。
「ああっ……麻理………麻理っ……！！」
高橋が下着をずり下げて、麻理の中に赤黒い肉棒を挿入するのが見えた。
串刺しになった麻理の白い身体がぬらぬらと汗ばんでいく。
幼いころに神社の社の裏で見た、あのおぞましくも卑猥な光景。
その中に、今自分はいるのだ。
だがそこに、もう女神はいない。
そこにいるのは、身勝手で、貪欲で、はしたない、ただのメス──。
そうだ。麻理が幸せな結婚をする必要など最初からなかったのだ。
女はみんな、俺の母親と同じ、ただのメスなのだから──！！
頭の中で銃声のような乾いた破裂音が鳴り響いて、俺はあっけなく射精した。
俺はいまさらリメイクミシンなどというチンケな会社に戻る気はない。
俺はＴデパートの主任になったのだ。
高橋が俺を己の性欲のために利用するつもりならばそれで構わない。
俺もとことんまで利用してやる。
高橋と、薄汚いメスどもを。
高橋に気に入られている限り、俺の地位は安泰なのだから。
──この時俺は気づいていなかったのだ。
本当に洗脳されているのは、自分自身だということを。
END