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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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なんて言うんですか劣等感-8

「そうだね、好きだからそう言うことしたくなるもんだよ」


歩仁内までもが、焚き付けるように修に相槌を打つ。


石澤さんはとうとう何も言い返せなくなって、俯いてしまった。


でも、いくら俺を煽るためとは言え、そういうことをハッキリ言うのは、女の子には可哀想なんじゃないか?


男に免疫のない石澤さんはもちろん、清純派の本間さんだって……。


プレッシャーを感じながらも、こっそり歩仁内の横に座る本間さんの様子を窺うと。


彼女は長い睫毛を伏せて、窓にもたれ掛かりながらスヤスヤ寝息を立てていた。


あどけない寝顔だけど、眼鏡越しの大きな瞳や少しだけ開いた唇が妙に色気を感じさせて、思わず生唾を飲み込む。


この娘も、ついに大人の階段昇っちゃったんだよなあ。


そしてまた、勝手に脳内で妄想される、歩仁内と本間さんの秘め事。


同時に下腹部がジンジン疼き始め、たまらず少しだけ前傾の姿勢を取った。


あー、くそ。欲求不満もそろそろ限界か……?


修や歩仁内のにやついた視線から逃れるように、俺はそのまま膝を抱えるように突っ伏した、その時。


「……倫平。沙織のヤツ、チラチラこっちを気にしてるぞ」


耳元で囁かれた修の低い声に、すぐさま顔を上げた。


そこには、相変わらず州作さんが楽しげに話しかける姿と、相槌を打つ沙織の横顔。


だけど、俺が顔を上げた瞬間、沙織は確かに、俺の方をチラリと見たのだ。


一瞬だけだったけど、何かを訴えたそうにしていたあの瞳。


それを見た俺は、胸の奥から何か熱いものがたぎる感覚を覚えた。


――沙織もきっと待ってんぞ?


修の言葉を思い出した俺は、心の中で沙織に問いかける。


ホントに好きなら、そういうことをしたいって思うのは自然なことなんだよな?


俺は、ゴツゴツ骨ばった膝頭をグッと掴んで、キュッと唇を噛み締めた。





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