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ありがちな二人の、ありがちな日々
【女性向け 官能小説】

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月光と、陽光 -1


『万物を美しく輝かせる陽光は私には眩し過ぎて、照らされると惨めで悲しい気持ちになる。そんな私には月光くらいの優しい光がちょうどいい…』

ダイニングテーブルの席につき、湊はノートパソコンに向かい、忙しなく指をキーボードに滑らせていた。

リビングのソファーには、いつもと変わらない…いや、いつもと少しだけ違う新太の姿があった。
その手には、スケッチブックと鉛筆。
新太の視線の先には、真っ直ぐにパソコンを見つめて物語を紡ぐ湊の姿があった。

もう一度描いてみよう。そう思い鉛筆を握って、何を描きたいかを考えたら、湊しか頭に浮かばなかった。

「ねえ湊サン、モデルになってよ」
「…やだよ。そういうのなんだか恥ずかしい…」

湊にモデルを頼んだけれど、苦笑いをして渋られた。だけど新太は湊が描きたかった。
だから湊が自分の存在を意識しない時を選ぼうと考えたら、湊がパソコンで執筆をしている時が狙い目だと思いリビングから湊を眺め見ながら、スケッチブックに鉛筆を走らせた。

160ないくらいの身長。細くて白いい二の腕。
黒くて艶のあるミディアムショートの髪。
少し丸みのある輪郭に優しい下がり気味の丸い瞳や主張の控えめな小さな鼻。そしてふっくらとした唇。
そのどれもが新太にとってはいとおしい。そう思うと自然と頬が緩んだ。

(湊サン、化粧しないほうが若くみえるのになぁ…)

そう湊に言ったら、きっと照れながらも「この歳でスッピンで外になんか出るのは無理だから」と口を尖らせそうだ。
そう思うと、外側の人達が知らない本当の湊を見つめていられる事が嬉しくなり、ついつい口元が緩んでしまう。

テーブルの下、ショートパンツから延びる柔らかな太股。細いふくらはぎに足首。
時折無意識に組み換えられる湊の足を見つめていると、指を滑らせたい。ついついそんな衝動に駆られてしまう事には苦笑いをしてしまう。


一息ついて湊は、キーボードを叩く手を止めたところで新太も鉛筆を止めた。

「湊サン、コーヒー飲む?」
「うん、新太も飲むでしょ?」
立ち上がりかけた湊に、

「僕が淹れるよ。湊サンは座ってて」

新太は立ち上がり、ダイニングへと歩いて電気ケトルのスイッチを押した。

下手なドリップコーヒーよりも、インスタントが好きな二人。
湊は熱いブラック。猫舌な新太は牛乳を注いでぬるくしたコーヒーが好みだ。

ここに住み始めた頃は、こうしてダイニングに立ちコーヒーを淹れるなんて思ってもみなかった。
新太はそう思うと、湊のマンションに住み慣れていく自分に苦笑いをしたくなる反面、ずっとこうして二人で暮らせたら…。

そんな幸せな未来を想像してひとつ頷いた。





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