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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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菫、走る-5

ベンチの周りが凍りつく。遠くで見守ってた私も開いた口が塞がらずにいた。
 菫に叩かれた隼人君は、一瞬何が起こったか理解出来ないでいたが、冷静になり。

「ってーなぁ!あにすんだよっ!」
「点がちょっと開いたくらいでもうギブアップ?情けないにも程があるでしょ!?」

乱暴に立ち上がり、彼も菫を睨む。

「お前に何が解るんだよ!バスケは愚か体を動かす事自体しないひ弱なお前にっ!」
「なっ!」
「大体何なんだよその顔、慣れない事してぇ、全然似合ってねーぞっ!」
「っ……」
「あっ、おい、バック…」

引き止める彼を他所に、勢い良く出口の方へ走り去る菫。私もその背中を追う。

「おいー、ちょっと言い過ぎじゃねー?」
「……。」


人気の無い公園、私はベンチで泣きじゃくる友人に、ただ黙って優しくその弱弱しい肩を
支える。

「うっ…ひっく…うぅ。私、私ぃ!、あんな、あんな事…言うつもり何て…無かった」
「菫…」
「ホントは、ホントはぁ、ただ黙って、見守っていたかった!勝利を信じて…。
 彼が弱っているなら、そっと、支えてあげたかった……それなのにっ!」

震える声で、想いを吐き出す彼女、こういう辛い気持ちは痛い程良く解る、だからこそ
 助けてあげたい、私は最大限言葉を選び、優しい口調で菫に語りかける。

「大丈夫だよ、彼ならちゃんと解ってくれる。こんな事で簡単に千切れるような仲では
 ない筈でしょ?」
「でもっ!でもぉ!」
「解ってる、今は時間が必要何だ。向こうだって後で何て馬鹿な事をしてしまったんだ
 って思う筈…だから焦らずゆっくりと」
「杏…。」

「それはちょっと難しいんでないかな?」
「ハァ!?」

人が精一杯友人を励ましているのに、突然腹立たしい横槍が、投げつけられ。
 頭に来た私は、そうぬかしてきたその声を主の顔を見上げると。

「あら?貴方確か隼人君と居た」
「ど、どーも神田ですっ。」

試合はどうした、と訪ねたら黙って公園に設置してある時計に指を刺した。
 すると、大きな針があの体育館に入った時より一つ数字が越されていて。
 自分でも気が付かない内に、無我夢中で彼女を励ましていたんだ。
 彼の服装は制服になっていた、用件も彼の片手にある菫のバックを見て一目瞭然。
 でも、引っかかる事が。

「どういう意味?難しいって…」

顔を歪ませ、少々キツイ口調で問いかける、すると。

「アイツ、引越しちゃんだ……、青森に。」
「!!?」

嘘でしょ?私以上に衝撃を受ける菫、私の体から離れどういう事なんだ、と言わんばかり
に目を思いっきり見開き、彼に視線を送る。

「お父さんの仕事の関係で、そこは今よりもっと稼ぎが良いからって、アイツも同意
 している見たいで」

菫から聞いた、彼は小さい頃にお母さんを病気で亡くし、それ以来彼はお父さんと男二人
で支えあって暮らしており色々と苦労を背負っているのだが、普段ヘラヘラ笑っていてる彼からは、そんな素振りは見られなかった。

「そんな、それじゃー早く想いを伝えないと」
「嫌よ!そんな、人が必死に慣れないメイクをして振り向いてもらうとしてるのに、全然
似合ってないって、完全否定するような…」
「あぁー、アレか、アレ後で言ってたよ」
「………えっ!?」






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